全日本トラック協会 長時間労働の抑制等に向けた取り組みが進む

2016年11月21日

ゴムタイムス社

 公益社団法人全日本トラック協会はこのほど、トラック運送業の長時間労働の抑制等に向け、官民一体となって環境整備を進めていることを明らかにした。

 トラック運送業の労働条件改善・生産性向上については、次のような背景から取り組みが始まった。

 平成27年4月に閣議決定された労働基準法改正案において、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率引上げ(25%→50%)に関し、中小企業への適用猶予を見直すこととした。ただ、トラック運送事業者においては、月60時間超の時間外労働等長時間労働の常態化が課題であるものの、荷主の都合による手待ち時間(待機時間)等がその大きな要因となっており、業界の自主努力のみで改善することは困難であった。

 そのため、平成27年度に行政(厚生労働省・国土交通省等)・荷主・トラック運送事業者などにより構成される「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」を中央及び全都道府県に設置し、関係者が一体となって、取引環境の改善と長時間労働の抑制に向けた取り組みを推進することとした。

 主な取組みとして、平成27年度は「トラック輸送状況の実態調査」を実施した(有効回答:1252事業者、5029ドライバー)。「16時間を超える運行」が全体の13%、「手待ち時間がある運行」は全体の46%、手待ち時間の平均は1時間45分であるなど、拘束時間や手待ち時間等の詳細について実態を把握した。

 その結果を受け、平成28年度は個別の荷主とトラック運送事業者のグループが、コンサルタントの助言を得ながら協同して手待ち時間の削減等に取り組むパイロット事業(実証実験)を実施している。

 パイロット事業の内容および実施時期については、以下のとおり。6~8月には、①「現状分析」として、発荷主・元請運送事業者・下請運送事業者・着荷主ら、実験に参加する事業者とコンサルタントが連携し、当該集団における運送取引の実態を把握した。また、②「課題の洗い出し、および課題に対する解決手段の検討」として、手待ち時間や荷役作業、拘束時間などそれぞれの課題について解決手段を検討した。9~11月にかけては③「解決手段の実証実験」として、手待ち時間の縮減や荷役作業工程の見直し、運転時間等の見直しを行い、12月以降に④「実証結果の検証」を行う予定である。

 このパイロット事業で明らかになった課題や解決策は、平成30年度に取りまとめるガイドラインに反映し、横展開することで、トラック業界全体の長時間労働是正につなげるとしている。

 なお、地方協議会においては、荷主に向けて協議会や実態調査の結果等を周知するなど、すでに各都道府県で取り組みが進んでいる。今年度に取り組みが進んだ輸送品目の内訳は食料品11件、農産物7件、紙・パルプ4件、建設資材3件、機械製品3件、飲料2件、鮮魚2件、繊維製品2件、その他13件となっている。

 

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