ゴムポリマーにカーボンブラック、ゴム薬品(促進剤、補強材、充填剤、老化防止剤)等を混ぜたゴムコンパウンドが、カーボンマスターバッチ(CMB)である。
主に自動車用ゴム部品をはじめ、建築・土木製品などの工業用ゴム製品に幅広く使用される。
近年のCMB業界動向では、主力顧客先である自動車部品メーカーの海外生産移管による材料の現地調達の増加、加工部品メーカーの内製化など、CMBの需要構造が大きく変わり始めている。
その結果、CMB業界の大手および中堅メーカーが、ともに受注量の減少という構造的な問題に直面している現実がある。
また、日本ゴム精練工業会(JPMA)が今年4月の定期総会で発表された会員企業アンケートの調査結果によれば、2015年のゴム練生産量は、黒もの8万9680t、色もの1万6890t、その他7800t、合計11万4370tとなった。ちなみに、14年が11万5000t,13年11万8000tと3年連続減少になった。
このような厳しい環境下、ポリマー系列の大手メーカーは、ゴム加工メーカーの海外生産拡大を背景に、中国やタイ、メキシコなどで高品質CMBを生産。主に日系メーカーを中心に製品を供給することで活路を見出そうとしている。
一方、小口練りを得意とする中堅メーカーでは、汎用のゴム練り以外の付加価値を高めた特殊ゴム練をはじめ、樹脂や繊維などの異素材を混ぜた特殊ケミカルマスターバッチなど、高品質な製品群に展開することで需要を喚起していく方針で、経営展開を進めている。
今後の業界全体の方向性としては、材料の現地調達化などで国内市場が縮小しつつある中で、いかにユーザーのニーズに見合う高付加価値商品の拡充ができるか、あるいは技術開発を進めることによって、どれだけ新しい商材の開発・提供ができるかが問われることになるだろう。
さらに、物流費やユーティリティ費の上昇に伴い、コスト削減策のさらなる強化をはじめ、設備の老朽化、従業員の高齢化、若い従業員への技術伝承など、様々な課題が山積している。これら課題の解決に取り組むことが、急務となってきている。
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