【新春トップインタビュー】東拓工業 豊田耕三社長

2017年01月02日

ゴムタイムス社

 16年度から中長期5ヵ年計画をスタートさせた東拓工業。「中計1年目はここまで予定通り」と語る豊田耕三社長に16年を振り返ってもらいつつ、製品開発や17年の抱負などを聞いた。

◆16年を振り返って。

 今期途中から社長に就任したが、可もなく不可もなくといった年だった。16年度下半期の状況を見ると、上半期と比べて1~2%程度の伸びで推移している。ただ、安心感はあまりない。ホース全体の需要が補修中心になっており、ユーザーが新しい設備を投資する環境になっていないというのもある。
 事業別では、工業用ホースは少しずつ増えてきている。電設設備は上半期の出足は良くなかったが、足元は盛り返している。また、土木資材と橋梁関連資材は、上半期の好調が下半期も続いている。通期の業績見通しについては、売上は前年度の過去最高を引き続き更新できるのではないか。

◆中計の進捗状況は。

 中計5ヵ年計画の大きな施策の一つである関東工場(栃木県小山市)建設に関しては、17年に竣工し、18年度初めの稼働を目指している。工場稼働後は、東日本地域での販売をさらに強化していく方針だ。
 当社は関西りんくう工場、静岡工場、九州工場、沖縄工場と製造拠点が西日本に偏っている。関東に製造拠点を構えることにより、東日本地域での物流コスト削減や迅速な納期体制が可能になるだろう。
 また、西日本の工場では、当社が抱えている受注に対して生産がタイトになっている製品も多い。工業用ホースや電設資材がそれにあたる。まずはこうした製品から関東工場に順次生産を移管し、生産体制のバランスをとっていく。

◆製品開発について。

 化学業界向けの「TACフルオロフレキ」は、モニター先でも高い評価をいただいており、16年秋から本格的に販売を開始した。
 食品業界を主にターゲットにしたTACエコシリーズの「TACエコライン耐熱耐油100℃仕様」は、同製品専用の接続金具「しめTAC」を発売する。食品現場での金具脱着や清掃がしやすいのが特長。今後は金具を含めた製品の拡充・拡販を図っていく。

◆ホース市場について。

 ホースの需要が自然に増えていく状況にはないので、新しい需要を作っていかないと厳しいだろう。そのためには、TACフルオロフレキのなど従来と違った新製品を開発することで、新しい需要を掘り起こしていきたい。
 当社は、新製品をユーザーに広めるため、展示会や地域のゴム卸商業組合の製品説明会を活用している。展示会はユーザーが製品に何を求めているかを直接聞くことができる貴重な機会でもある。これからも展示会には積極的に出展していく方針だ。

◆17年の抱負。

 15年度から経営テーマとして「変える、変わる、変化に挑戦」を掲げているが、来年度もこのテーマを継続していきたい。約300名の社員に対しては、社員全員が強い参加意識をもってほしいと思っている。さらには、1人当たりの生産性向上を目指す必要がある。技術部門では開発での生産性向上、製造部門ではモノづくりの生産性向上、営業部門でも販売の生産性向上が必要になる。今年は1人ひとりの社員に生産性向上を意識づけたいと考えている。

(アングル)
 社長就任後、社長業の忙しさを改めて実感していると語る豊田社長。今年は関東工場建設を予定通り進捗させることが最も大切とした上で、新工場が稼働するまでに、しっかりとした基盤を作っていくとのことだ。

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