【新春トップインタビュー】タイガースポリマー 渡辺健太郎社長

2017年01月16日

ゴムタイムス社

 タイガースポリマーの渡辺健太郎社長は、同社本社で記者会見を行った。「海外拠点は為替の影響もあったが、堅調だった」と振り返る渡辺社長に16年を振り返りながら、国内や海外事業の進捗状況、17年の計画、経営課題などを尋ねた。

◆16年を振り返って。

 中間決算を振り返ると、国内単体では増収増益となり、連結では為替の影響により、売上は減収だったが、利益面では増益となった。

 利益面での増益要因は、国内が良かったことに加え、海外も現地通貨ベースで増益になっている拠点が多かったことが挙げられる。

 海外拠点別の現地通貨ベースで見ていくと、売上、営業利益ともマレーシアが減収増益だったが、そのほかの拠点は増収増益だった。

 特に、中国の増収幅が大きかったのが特長だ。原価低減の努力はもちろん、現地通貨ベースの増加、材料費の値下がりなどが、業績に寄与したと言える。

  国内の需要動向では、家電用ホースの販売が若干減少したが、自動車部品をはじめ、シートとマットのゴムシート・産業用ホースの販売が伸長した。

◆足元の動向・通期の見通しは。

 10~11月を見ていくと、今のところ、計画通りに進んでいるが、今期の連結業績は、公表値の通り売上は横ばい、利益面では営業利益、経常利益ともに若干減少を見込んでいる。

◆海外拠点の動向は。

 米国は自動車部品のTPMと産業用ホースのTFCの2拠点があるが、産業用ホースが米国の好景気で売上が伸びた。中国拠点の、自動車部品が好調なほか、タイも回復して大幅なプラスとなった。ただし、マレーシアの家電用ホースが若干減少したが、新しい製品の納入が始まるので、来期は業績も改善する計画だ。

 メキシコは材料費比率の改善効果が大きかったが、新規受注などの影響で来期はより改善していくだろう。

 ちなみに、中間期の海外売上比率は48%、前期の中間期は52%だったが、今期は為替の影響が大きい。実際の比率は国内、海外半々で、若干海外の方が多いのではないか。

◆来期の計画は。

 国内の売上は横ばいを計画。海外は売上が増加すると見込んでいる。

 利益面は、海外拠点については設備投資をした子会社で減価償却費が発生し、利益がでてくるのが後になる。その結果、横ばいを見込んでいる。また、材料費の上昇があるのではないかと見ている。分野別で見ると、自動車部品が若干減少するかもしれないが、自動車部品以外の分野でカバーできるだろう。

◆今後の経営方針について。

 国内の設備や人員をフル活用することで、売上、利益を最大化していきたい。国内市場が長い目でみても縮小傾向になっていくことは確かだが、そのなかで勝ち残っていくためには、原価低減を行い、製造部門における標準化の徹底や、品質保証部の充実などを行うことで、効率良い生産を進めていく。また、新製品開発には、営業と開発研究所が協力し、緻密に実行していくことも必要だと考えている。

 一方、海外拠点においては、タイの第1工場と第2工場を、第3工場に集約し、16年12月に完成した。その結果、生産能力が増大し、生産効率の改善に役立つと期待している。

 また、米国では、TFCの工場を近隣に移転する計画がある。一方、自動車部品を製造するTPMは、新しい生産に対応できるように機械を納入しラインを増設、工場を拡張した。

 国内については、上に述べた諸施策を行うと共に、かねてからの課題であった収益管理の徹底をさらに推進していきたい。海外については、規模が拡大する拠点が多いので、売上増に収益がついてくるよう、上手く運営していきたい。

全文:約1503文字