住友ゴム 制震装置ミライエで実験 熊本地震級で効果実証

2017年02月02日

ゴムタイムス社
京大の強震応答実験装置を使用して実験は行われた

京大の強震応答実験装置を使用して実験は行われた

 住友ゴム工業は1月27日、住宅用制震装置「MIRAIE」(ミライエ)の性能を確認する実大振動台実験を京都大学防災研究所で行った。
 昨年4月に発生した熊本地震と同規模の震度と回数で、実物大の木造2階建住宅を揺らす実験を行い、「ミライエ」装着の住宅に損傷がないことを確認した。

 今回の実験では、熊本地震の本震のような縦揺れを忠実に再現するために、前後左右上下と三次元の揺れを発生させることができる京大の強震応答実験装置を使用した。今まで横揺れでの実験検証はしていたが、縦揺れを含めた三次元の耐震性を実験したのは戸建て住宅用では初めてとなる。
 二階建ての木造住宅に「ミライエ」2基を建物1階部分のXY方向(建物を上から見て直交する2方向)の壁部分に設置し、熊本地震と同様に、震度7を2回加振した。

実験住宅に設置されたミライエ

実験住宅に設置されたミライエ

 実験の結果、「ミライエ」非装着の住宅は2回目の加振時に、合板の損傷、金具のビス抜け、柱が折れるなどの損傷が見られ、安全管理上倒壊しないようにしているものの、実際の地震の場合は倒壊した状態になったが、「ミライエ」装着の住宅は、ほとんど損傷がなく、ビスなどのゆるみも見られなかった。

ビスのゆるみも見られなかった

ビスのゆるみも見られなかった

 1階の上部の変形量の最大値である層間変形量は未装着の630・2ミリに対し、装着は約20分の1の31・1ミリとなり、建物の変形を95%低減させる結果となった。

 さらに、3回目の震度7の加振でも損傷がなかったことが報告され、耐震性の継続も証明された。
 実験結果について、ハイブリッド事業部制振ビジネス松本達治リーダーは「一次元の揺れだけでなく、三次元の揺れにもミライエが有効だと確認することができた」とし、
ダンパーの性能評価は、実物の住宅を使用せず、ダンパー単体の性能からのシュミレーション結果や規模の小さい建物による実験だけで性能評価が行われるなど評価軸が整っていない業界の現状を説明した上で、「今回の性能実験が今後の業界基準になってもらいたい」と期待を寄せた。

ハイブリッド事業部制振ビジネス松本達治リーダー

ハイブリッド事業部制振ビジネス松本達治リーダー

 「ミライエ」は独自の高減衰ゴムの採用により、地震の揺れを最大90%吸収・低減し、家の損傷を軽減することで、住む人の安全と住まいを守る木造住宅用制震ダンパー。
 同社独自で開発した特殊な高減衰ゴムをダンパーパネルの左右に設置し、足元を基礎とアンカーボルトで緊結し、地震発生時に起こる振動を熱エネルギーに変換することで、地震の揺れを吸収する。 ミライエ開発の技術的なポイントには「一般的な高減衰ゴムと比較して2倍

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