15年版ISO規格の改訂に先立ち、12年にISO規格を制定する際に従うルールのひとつである「ISO/IEC専門業務用指針 補足指針」が改正され、「附属書SL」がまとめられた。附属書SLとは、マネジメントシステムの枠組みを定義するもので、言わば「規格作成におけるルールブック」である。
ISOはマネジメントシステム規格として、ISO9001(品質)、ISO14001(環境)など様々な規格を発行している。これらは個別の委員会で作成しているため、用語の定義や規格の章立て・構成が統一されていないという問題点があり、複数のISO規格を取り入れている企業にとって、運用の妨げともなっていた。
そのため、ISOマネジメントシステム規格の制定・改訂において「構造、分野共通の要求事項及び用語・定義を共通化すること」が求められ、「ルールブック」として附属書SLが作られたのである。
附属書SLでは、大きく分けると3つのことが規定されており、①規格の構造(章構成)の共通化、②共通用語及び中核となる定義の規定、③要求事項の明確化・強化である。
例えば、共通用語及び中核となる定義では、「組織=自らの目的を達成するため、責任、権限及び相互関係を伴く独自の機能を持つ、個人又は人々の集まり」、「目的、目標=達成する結果」、「リスク=不確かさの影響」など、21の用語と定義が統一された。
附属書SLの制定により、複数のISOマネジメントシステム規格において共通化が進み、企業にとって運用の負担が減少することが期待されている。
ISO9001、ISO14001の改訂については、3年間の移行期間を経た18年には「ISO9001:2008」および「ISO14001:2004」は廃止される予定である。