東海カーボンの2016年12月期連結決算は、売上高は885億8000万円で前年同期比15・5%減、営業利益は11億3100万円で同72・3%減、経常利益は17億200万円で同60・6%減、親会社株主に帰属する当期純損失は79億2900万円(前期は24億8400万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となった。
カーボンブラック事業の売上高は、原料油価格下落に伴う売価の下落により減収。原料油価格は当期より反転の兆しを見せたものの前期の水準にまでは戻らなかった。一方で、販売数量自体は堅調に推移し、中国及びタイ子会社の労務費、償却費削減等を含めたマージン大幅改善により大幅な増益となった。結果、同事業部門の売上高は377億6400万円で同18・3%減となり、営業利益は47億5500万円で同305・9%増となった。
黒鉛電極事業部門では中国鋼材の過剰生産に端を発する各地域での電炉鋼生産減少等の影響もあり、黒鉛電極の構造的な需給不均衡は改善されず、競争が厳しくなるなか販売価格は下落を続けた。これに加え、円高の進行もあり、売上高、営業利益ともに大幅な減少となった。結果、同事業部門の売上高は207億1400万円で同23・2%減となり、営業損失は12億9000万円(前期は25億3900万円の営業利益)となった。
ファインカーボン事業部門では、半導体市場及び一般産業用黒鉛材市場は堅調に推移しており、太陽電池市場は中国を中心に回復しているものの、特殊炭素用黒鉛材の供給能力は依然として需要を上回っており厳しい競争環境にある。このような状況のもと、同事業部門は要員削減を含む合理化を実施し、生産能力の削減のみならず、製造品目絞り込み、在庫削減等の施策を進めてきた。また同期においては、取引先の業績悪化に伴う貸倒引当金繰入等約8億円と長期在庫の評価損約3億円の計上等により、営業利益が大幅に減少した。結果、同事業部門の売上高は129億2500万円で同13・7%減、営業損失は18億2500万円(前期は1億1200万円の営業利益)となった。
工業炉及び関連製品事業部門では、工業炉の売上高は、主要な需要先である情報技術関連業界向けが前期並みに推移したことに加え、一部エネルギー関連業界の設備投資があったため同増となった。発熱体その他製品の売上高は、中国及び新興国の電力インフラ向けが堅調に推移したものの、耐火物の需要減等の影響により同減となった。営業利益は、棚卸資産の除却と製品保証費用を計上したことにより同減となった。結果、同事業部門の売上高は52億4300万円で同0・6%増となり、営業利益は5億1600万円で同23・7%減となった。
その他事業部門の摩擦材は、中国の需要低迷による建設機械の生産量落ち込みや、農業機械の生産減等の影響を受け、摩擦材の販売数量が同落ち込んだ。結果、摩擦材の売上高は76億600万円で同7・6%減となった。その他は、不動産賃貸等その他の売上高は、リチウムイオン二次電池用負極材の販売数量が増加したことにより43億2500万円で同32・7%増となった。以上により、同事業部門の売上高は119億3200万円で同3・8%増となり、営業利益は5億2200万円で同23・3%減となった。
2017年12月期の通期連結業績予想は、売上高が890億円で前期比0・5%増、営業利益が52億円で同359・5%増、経常利益が61億円で同258・3%増、親会社株主に帰属する純利益が70億円を見込んでいる。