横浜ゴムは3月3日、今年のモータースポーツ活動計画を発表した。
タイヤ事業のグローバル展開の一環と位置づけ、国内外での幅広いモータースポーツ活動を通して、ヨコハマタイヤの認知度向上を図っていく。また、自動車産業およびモータースポーツマーケットの成長発展・活性化に貢献していく。
FIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)
2006年からオフィシャルタイヤサプライヤーを務め、10年からはオレンジオイル配合技術により優れたグリップ性能を維持しながら環境性能を高めた「アドバン」レーシングタイヤを供給している。
今年は12年目のワンメイクタイヤ供給となる。供給タイヤサイズは250/660R18。今年はモロッコラウンドを皮切りに、欧州・アフリカ・南米・アジア・中東と世界を転戦し、全10大会が行われる。日本ラウンドは10月にツインリンクもてぎで開催される。
フォーミュラレース
〈全日本スーパーフォーミュラ選手権〉
16年からワンメイク供給を開始した「アジア最高峰のフォーミュラレース」である全日本スーパーフォーミュラ選手権へアドバンレーシングタイヤを継続供給する。
供給タイヤはオレンジオイル配合技術により、優れたグリップ性能を維持しながら環境性能を高めたドライ用の「アドバンA005」とウェット用の「アドバンA006」。タイヤサイズはフロント用が250/620R13、リア用が360/620R13。
〈全日本F3選手権〉
11年からワンメイク供給を開始した全日本F3選手権に、今年も引き続きアドバンレーシングタイヤを継続供給し、日本で開催されているレースカテゴリーの中で、最も長い歴史を持つこのカテゴリーの足元を支える。
供給するタイヤはドライ用の「アドバンA005」とウェット用の「アドバンA006」。タイヤサイズはフロント用が200/50VR13、リア用が240/45VR13。
〈スーパーFJ〉
Super―FJはJAFの地方選手権として、東北から九州までの主要サーキットごとに、7つの地方選手権シリーズが設定され、激戦を繰り広げる。
8年目となる今年も、引き続きアドバンレーシングタイヤを継続供給し、国内フォーミュラカーレースの入門カテゴリーからトップカテゴリーまで幅広く支えていく。
GT・ツーリングカーレース
〈スーパーGTシリーズ〉
スーパーGTはメーカーのワークス勢が主力となるGT500と、個性的なチームが競い合うGT300の2つのクラスで競われる。
GT500は14年から行われているドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)との車両規則共通化がさらに進められ、各チームともにダウンフォースの低減などを図った新規定に適合した車両を投入する。
一方、GT300は自動車メーカーが製造販売する国際規格のFIA GT3マシンと日本独自のJAF―GT車両、マザーシャシーが混在し、国内外のバラエティ豊かな車種が競い合う。
昨シーズンは、GT500でKONDO RACINGの「フォーラムエンジニアリングアドバンGT―R」が2勝、LEXUS TEAM WedsSport BANDOHの「WedsSport アドバンRC F」が1勝を挙げ、横浜ゴムは通算3勝の最多勝利数タイのタイヤメーカーとなった。
今年はこの2チームに加え、TEAM MUGENの「MUGEN NSX―GT」へのタイヤ供給が決定している。GT300ではVivaC team TSUCHIYAの「VivaC86MC」がシリーズを制し、ヨコハマタイヤ勢がチャンピオン奪還を達成した。連続チャンピオン獲得を目指して今年も20台を超える多くのヨコハマタイヤユーザーを支えていく。
昨年同様、タイ戦を含む全8大会が組まれており、各大会で多くの観客動員が見込まれている。
〈スーパー耐久シリーズ〉
2017年から新たにTCR規定車両で争われる「ST―Rクラス」とFIA―GT4車両で争われる「ST―Zクラス」が追加され、これまでのSTX、ST1からST5の6クラスと合わせて最大8クラスで競われる。
FIA GT3マシンからコンパクトカーまでバラエティ豊かなマシンが参戦する。これらのマシンを3、4人のドライバーでリレーして、ピット作業の速さやレース展開に応じた戦術などチーム同士が総力戦で競い合う。
10年にワンメイクタイヤ制を導入し、同年から現在まで横浜ゴムがオフィシャルサプライヤーを務め、8年目のシーズンを迎える。供給するタイヤはドライ用の「アドバンA005」とウェット用「アドバンA006」。バラエティ豊かなマシンに合わせて15インチから19インチまで幅広いサイズラインアップを揃えている。
〈TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race〉
同レースのシリーズは誰でも参加できる「プロフェッショナルシリーズ」と一定の戦績を有する選手は参加できない「クラブマンシリーズ」から構成されている。プロは必然的に「プロフェッショナル」への参加となるが、アマチュアはシリーズを選ぶことが可能でプロと同じ土俵で戦ってスキルを磨くこともできる。
今年は全国の主要サーキットで全9大会/10戦が開催される。このうち「プロフェッショナル」は7戦、「クラブマン」は5戦の有効ポイントでタイトルが競われる。
車両はトヨタ・86とスバル・BRZのツーメイクスで、2017年は「プロフェッショナル」はマイナーチェンジ後のモデルに限られる一方、「クラブマン」はマイナーチェンジ前後の全モデルが参戦可能。ただし最低重量で性能調整が施される。
タイヤはワンメイクではなく、「プロフェッショナル」は「アドバンA08B」、「クラブマン」は「アドバンA052」を使用してチャンピオン獲得を目指す。
〈その他〉
欧州ではFIAヨーロピアンツーリングカー選手権、北米ではポルシェGT3カップチャレンジUSA、ポルシェウルトラ94 GT3カップチャレンジCANADA、日本で行われるインタープロトシリーズなど世界各地のレースにアドバンレーシングタイヤを供給する。
ラリー
〈全日本ラリー選手権〉
今年も全9戦で競われる全日本ラリー選手権。ターマック(舗装路)では「アドバンA052」、グラベル(非舗装路)では「アドバンA053」を中心としたラインアップでユーザーの走りを支える。
昨年はJN5とJN2のドライバー/ナビゲーター(コドライバー)の両部門、JN1のナビゲーター部門でヨコハマタイヤユーザーがチャンピオンを獲得した。今年も最高峰のJN6に参戦する奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手、新井敏弘選手/田中直哉選手をはじめ、より多くのクラスでチャンピオン獲得を狙う。
スピード行事
〈全日本ジムカーナ選手権〉
昨年はPN2とSA1、2つのクラスでチャンピオンを獲得した全日本ジムカーナ選手権。今シーズンも「アドバンA050」と「アドバンNEOVA AD08R」に加え、2016年8月発売のストリートスポーツタイヤ「アドバンA052」の高性能を武器に、多くのクラスでチャンピオン獲得を目指す。
〈全日本ダートトライアル選手権〉
「アドバンA053」をはじめ、軟質路面用「アドバンA031」や超硬質路面用「アドバンA036」など幅広い路面に対応したタイヤラインアップを武器に、昨年はPN1、SA1、SC2、Dの計4クラスでシリーズチャンピオンを獲得。今年も多くのクラスでチャンピオン獲得を目指す。
〈ヨコハマ・モータースポーツ・スカラシップ9〉
横浜ゴムはモータースポーツ振興促進活動の一環として競技参加者を支援する「ヨコハマ・モータースポーツ・スカラシップ2017」を実施している。受付期間は4月30日(当日消印有効)まで。
同制度は登録したヨコハマタイヤユーザーを支援する制度で、競技の成績に応じてポイントを付与し、獲得ポイントによってヨコハマタイヤを支給する。対象競技などスカラシップの詳しい内容は専用サイトに掲載している。
その他のレース
〈オフロードレース〉
SUV用タイヤブランド「ジオランダー」を擁し、北米地域でのデザートレースやアジアで行われるアジアクロスカントリーラリーなど海外で開催されるオフロードレースに参戦する。
〈カートレース〉
国内カートレースの頂点に位置する全日本カート選手権は、最高峰クラスがエンジン規則の変更に伴い名称をOK部門と改めた。昨年までのKF部門に引き続き、この最高峰部門に参戦する。
昨年は第7戦、第8戦でヨコハマタイヤ勢が準優勝の活躍を見せたが、今年は表彰台トップを狙う。またジュニアカート選手権では13年以来となるFP―ジュニアCadets部門にワンメイク供給を行う。
海外でもアジア・カーティング・オープン選手権へのワンメイク供給を継続。またフィリピンやタイなどのサーキットレースに向けて幅広くタイヤ供給を行っていく。
今年も世界各国でのヨコハマタイヤ装着チームの活躍を支えていくとともに、モータースポーツ活動で得たデータを市販タイヤ開発に活かしていく。
なお、イベントレポートやリザルトは、横浜ゴムのモータースポーツサイトにおいて随時更新していくほか、横浜ゴム公式facebookやツイッター、YouTubeなどのSNSでも情報を発信していく。
その他
〈YOKOHAMA100周年記念ロゴ入りステッカー〉
横浜ゴムは創業100周年を迎えるにあたり、100周年記念ロゴマークを製作したが、競技車両に貼り付けるステッカーにも活用する。
100周年記念ロゴマークはYOKOHAMAのアイデンティティでもある「5本の赤いライン」をモチーフに、100周年のさらに先の未来に向けて力強く進んでいく情熱を表現した。また、100の「00」の重なりは、顧客に必要とされるタイヤ・ゴムメーカーであり続けるために皆とともに次の100年を作り上げる姿勢を表現している。