東洋ゴム工業は3月10日、今年を初年度とする4ヵ年の新中期経営計画「中計’17」を策定したと発表した。
最終年度となる2020年に、連結売上高4800億円、営業利益600億円、営業利益率12・5%を目指す。
記者会見した清水隆史社長は、「中計’17」では、事業機能・経営基盤の強化に一層注力するとともに、「量を追って、利益率を下げるのではなく、人材、お金、技術を集中させ、さらに強みを活かしていきたい」と話した。
事業分野別の戦略では、タイヤ事業は売上高4000億円、営業利益560億円、営業利益率14%の目標を設定。事業方針として、「利益極大化に向けた事業基盤の強化」を掲げ、「独自のタイヤ設計基盤技術の強化(進化)」「商品開発力の強化」といった技術、商品戦略を進める。
販売戦略としては、市場動向に応じた商品ミックス最適化やピックアップトラック、SUV、CUV用タイヤなど同社の強みとなるカテゴリーを更に強化していく。
世界でのタイヤ販売本数も16年の3500万本から20年に4400万本に増やす目標を掲げ、強みとなるカテゴリーでの販売構成比率も16年の36%から20年には40%に引き上げる。清水社長は「米国では20年にシェア6%以上を狙い、強みとなるカテゴリーで確固たる地位を確立させる」と強調した。
同社は2014年に16年までの3ヵ年を展望して策定した中期経営計画「中計’14」で、アメリカやマレーシア工場の能力増強などを中心に計画を推進してきた。今回の中計4年間の設備投資額は、約1280億円を計画し、タイヤ事業に1120億円、ダイバーテック事業に約160億円投資する。タイヤ事業では、「中計期間中に少なくても新生産拠点を1拠点は新設する」(清水社長)だけでなく、マレーシア工場の増強、欧州での研究開発拠点の新設などに投資する。
一方、ダイバーテック事業では、売上高800億円、営業利益は40億円、営業利益率5%を目指す。
将来的に成長を目指す分野として、タイヤ事業と相乗効果が期待できる自動車部品事業に経営資源を集中させ、自動車メーカーへの総合的提案、顧客密着戦略により、グローバルでの成長を推進する。
技術面ではモビリティを中心とした事業成長のために、新設した技術統括組織の傘下に、タイヤ技術開発部門、自動車部品技術開発部門、基盤技術研究部門を置き、技術リソースを連携強化させ、自動車部品事業の技術開発力を強化していく。
また、遅れていた兵庫県伊丹市への本社移転に関しては、「7月末をめどに移転を検討している」との見通しを述べた。移転後の旧本社は売却する予定。
2014年に発表した16年までの3ヵ年計画「中計’14」で掲げた営業利益目標は、15年12月期に一年前倒しで達成したものの、結果として、16年12月期では為替レートの影響や原材料価格の低位安定による価格圧力などにより、売上高・営業利益ともに未達となった。一方、外部変動要素を最小限にとどめる事業戦略が奏功し、営業利益率は3ヵ年にわたって目標を上回ることができた。