旭化成ケミカルズ 合成ゴム・熱可塑性エラストマーを値上げ

2011年10月07日

ゴムタイムス社

旭化成ケミカルズ㈱は10月4日、合成ゴムおよび熱可塑性エラストマーなどの製品価格の改定を実施すると発表した。主原料の1つであるブタジエンについて需要が極めてタイトに推移、ブタジエン市況も高値で推移していることから、自助努力の限界を超えるものとなり、安定的な生産、供給を継続するためには製品価格の改定が必要と判断した。合成ゴムの主原料であるブタジエンの海外価格が高騰を続けている。海外ブタジエン価格高騰の背景は「アメリカクラッカーのライトフィードへの移行、アジアのエチレンクラッカーの定修、台湾のフォルモサプラスチック、シンガポールシェルのクラッカートラブルーなどにより、ブタジエンが供給不足となったこと」(資材関係者)が主な要因として上げられている。
 旭化成ケミカルズは、ブタジエンの需給逼迫からブタジエン市況も高水準で推移、コスト圧迫要因を自助努力のみで吸収することは限界を超えたことで、安定的な生産、供給を継続するためには製品価格の改定が必要と判断した。
 主要対象製品(キロ当たり)は、BRが35円、SBRは30円、スチレン系特殊透明樹脂は10円、スチレン系熱可塑性エラストマーが25円。10月21日出荷分より実施する。
 ブタジエンは、自動車タイヤ向けの合成ゴム原料として広く使用され、アジアを中心に新興国や南米での高成長が見込まれている。一方、供給に関しては、その大部分がナフサクラッカー由来であるため、今後は中東ガスベースの安価な汎用エチレン誘導品の流入により、アジアのナフサクラッカーは減産となり、ブタジエンの生産も減少する。
 数年後にはアジア全体で100万㌧以上ものブタジエンが不足するとも言われており、急増するタイヤ需要に追い付かないのが実情。石油化学業界では、主製品エチレンにおいて最もコスト優位性があり、C4留分の含有量の少ない天然ガスなどへの使用原料の転換が進む中、今後はブタジエンの抽出原料であるC4留分は更なる供給不足が見込まれている。

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー