日本ゴム工業会は7月6日、東京・元赤坂の東部ビルで第78回時事問題講演会を開催した。今回は3月に発生した東日本大震災に関連し「震災後の自動車業界の現状と今後の見通し」と題して、㈱住商アビーム自動車総合研究所のストラテジスト・横山満久氏が講演した。
横山氏は震災が自動車業界に与えた影響から話を始め、大震災の被害状況、各社減産に追い込まれたインパクトなどについて述べ、生産面での影響と回復状況、自動車メーカー各社の業績見通し、部品サプライヤーに今後求められる課題まで幅広く解説した。
自動車生産に影響を及ぼした外的要因については「東北・関東の広域にわたり、多くの自動車メーカー、部品サプライヤーおよび原材料メーカーの工場が被災し た。また、震災直後の計画停電や大規模停電リスクの影響を受けて生産活動が中止となっていた」と説明。一方、内的要因では「これまでの合従連衡や原価低減 重視の背景からサプライチェーン構造が一部ピラミッド型ではなく樽型構造だったことも発覚した。競争力を持たせるため、専用設計品が多く、短期的には他へ の発注ができなかった」(横山氏)。
今後、部品サプライヤーが求められることは「自動車メーカーの海外シフトへの対応、高付加価値化への取り組みを強化する必要があり、日本のものづくりの底 力を強めることが肝要」と示唆。新興国における開発・品質基準についても現地化に努めることが今後の課題になる、と締めくくった。
2011年07月11日