「高機能プラスチック展」や「高機能フィルム展」など5つの専門展で構成された「高機能素材Week」が4月5~7日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。最新技術や製品などを出展したゴム関係企業の展示内容を2回に分けて紹介する。
◆高機能プラスチック展
信越化学工業
シリコーンで国内トップシェアの信越化学工業は、シランカップリング剤の開発コンセプトと、高透明LIMS用シリコーンゴム、UV硬化型RTVシリコーンゴムなどの製品を紹介した。
シランカップリング剤の開発に関しては、同社は「機能性向上」「環境に優しい」「使いやすさ」の3項目に着目して多様な製品開発を行っている。
ブースではその例として「機能性向上」では長鎖スペーサー型、「機能性向上」と「環境」では多官能基型、「環境」と「使いやすさ」ではVOCフリー型、エトキシ型などの製品があることをパネルで展示。長鎖スペーサー型は疎水性が高くなるため、フィラーに処理した際の分散性が向上するというように、各製品の特長を説明していた。
早川ゴム
早川ゴムは「温故挑戦」をテーマに、新たな事業分野として注力しているファインケミカルチームが初めて出展した。
展示したのは開発中の「超軟質高復元粒子」「UV硬化型弾性ガスケット」、すでに製品化されている「フィルム基板液晶向けセルギャップスペーサー」「加熱溶着型両面接着テープ」。
このうち、超軟質高復元粒子は、軟質性と復元性に優れた高機能アクリル系樹脂で、同製品を使用することにより、圧縮率95%以上の負荷を与えても破壊せず、負荷を除くと元の形状に復元する性能を付与することができる。一方、加熱溶着型両面接着テープは強粘着性・耐衝撃性・防水性に優れていることから、すでにスマホで使われている。
同社ではこうした開発品・製品の用途開拓を探りつつ、性能をPRしていた。
クラレプラスチックス
クラレプラスチックは「コンパウンド」「フィルム・ラミネート」の各事業を実機デモと製品展示により紹介した。
コンパウンド事業では「ヒトにフィット」をテーマに、高機能熱可塑性エラストマー「アーネストン」の多様なグレードから、高反発(弾性グレード)と低反発(振動減衰グレード)が創出する2次製品の可能性を提案。「衣料・スポーツ」「ヘルスケア」「自動車・電材」「インテリア・建材」の4分野をターゲットに、最終製品をイメージして展示を行った。
また、メタリック調のアーネストンのサンプルを紹介。外観はメタリック調ながら、軟らかい素材、金属・プラスチックに接着できる素材、従来よりも軽い素材、触感の良いグリップなど、触って驚く素材を展示していた。
ホッティーポリマー
ホッティーポリマーはエンプラからスーパーエンプラまで多彩な素材の超極細チューブ、これまでにない環境に優しいトリムシール、3Dプリンターに関連する押出製品など、独自配合技術や成型技術を活用したオリジナル製品を提案した。
超極細チューブには、多様な素材の製品がある。ブースではこうした製品の実物とリーフレットを使って説明を行っていた。
また、3月末にネット販売を開始した汎用3Dプリンター用の軟質フィラメント「HPフィラメント」については、3Dプリンターの実機を使って紹介。フィラメント化の時点では硬質フィラメントに近く、剛性が高くて芯があり、長さ方向には伸びないため、FDM方式の3Dプリンターのフィラメントに最適なことをPRしていた。
右川ゴム製造所
右川ゴム製造所は高復元スポンジ「スーパーセットフォーム」の開発品を中心に展示を行った。
通常、ゴムスポンジはシール性を向上させるために潰して使用するが、ゴムを発泡させるため、圧縮永久歪み性が落ちてへたりやすくなるという弱点があった。これに対し、同社は配合設計で圧縮永久歪み0%を実現したスポンジを開発することに成功した。
今回展示した開発品は「EPDM過酸化物加硫スポンジ」と板ゴムタイプの2種類。EPDM過酸化物加硫スポンジは非硫黄発泡なので、硫黄による影響を避けることが必要な用途で使用される。同社ではLEDの周囲や銅管などを用途として挙げていた。
一方、板ゴムタイプは加工が難しいものの、顧客からの要望があり開発した。現在、適切なサイズや用途を探っているところだという。
コールドジェットテクノロジーズ
ドライアイス洗浄のグローバル企業である米国のコールドジェットテクノロジーズは「微粒子ブラスト」を中心に製品の紹介を行った。
ドライアイス洗浄とは、ドライアイスを亜音速まで加速し、インパクトと同時に昇華させ、付着物をはがし落とす仕組みである。対象物を傷つけず、二次廃棄物を排出しないなどの特長があり、ゴムやプラスチックの金型の洗浄などとして使われている。
通常は