独ランクセスは4月24日、難燃剤と潤滑油添加剤の世界有数のサプライヤーである米国のケムチュラ社の買収が、当初の予定より早く21日に完了したことを発表した。
これに伴い、24日付で全ての添加剤事業を新たに設立する「スペシャルティアディティブス部門」に統合したことや、新事業分野となるウレタン事業について「ウレタンシステムズビジネスユニット」を新設したことなども合わせて発表した。
2月には議決権を行使できる株主が買収に賛成しており、買収に必要とされる全ての規制当局の承認も取得している。買収総額は24億ユーロで、これはランクセスにとって過去最大の買収となる。同買収によって、ランクセスは添加剤ポートフォリオを大幅に拡大するとともに、この成長分野で世界有数のメーカーとなる。
添加剤に加えて、ケムチュラ社のウレタンと有機金属化合物事業もランクセスのポートフォリオに統合。ランクセスはケムチュラ社が世界11ヵ国20拠点に擁する約2500人の従業員を吸収する。同買収により、ランクセスは北米地域で24の製造拠点、約2800人の従業員を有することになる。
ケムチュラ社の前年度売上高は約15億ユーロで、ランクセス全体の総売上高に占める北米地域の売上高は約17%から約21%に増加する。買収により期待されるシナジー効果は、2020年まで年間約1億ユーロを見込んでいる。
また、スペシャルティアディティブス部門は、新たに設置される「アディティブスビジネスユニット」と「ラインケミービジネスユニット」で構成される。アディティブスビジネスユニットは難燃剤と潤滑油添加剤が統合された事業が主体となる。ラインケミービジネスユニットは、ランクセス既存のゴムと機能性色剤向け添加剤で構成される。年間売上高は約20億ユーロ、世界で約2900人の従業員を擁する同部門は、ランクセスグループのさらなる柱となる。
ウレタンシステムズビジネスユニットの製品群は、ホットキャストプレポリマー、特殊水系ウレタン分散剤、ポリエステルポリオールなど。これらは主に建設業や鉱業、石油・ガス、運動用器材、電子産業などに使用される特殊ポリウレタンのコンポーネントとなる。例えば、ベルトコンベヤーのローラー、インラインスケートのローラーが、これらのポリウレタンから製造されている。
ウレタンシステムズビジネスユニットは、ランクセスの既存のハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットとともに、新設された「エンジニアリングマテリアルズ部門」に属する。
また、ランクセスのポートフォリオに新たに加わる有機金属化合物は、特にポリマー生産工程における触媒、あるいは精密化学品と医薬品の合成などに使用されている。この事業は同日付で、既存のアドバンスト工業化学品ビジネスユニットに統合された。