信越化学工業の2017年3月期連結決算は、売上高が1兆2374億500万円で前期比3・3%減、営業利益は2386億1700万円で同14・4%増、経常利益は2421億3300万円で同10・1%増、純利益は1759億1200万円で同18・2%増となった。
塩ビ・化成品事業では、売上高が4116億円で同6・8%減、営業利益が531億8600万円で同19・0%増だった。塩化ビニルは米国のシンテック社が増強した生産能力を活かし、北米内外で業界の伸びを上回る販売を実現したことで、2桁増益を達成した。欧州のシンエツPVC社は安定操業を続け、出荷が堅調に推移した。国内事業は国内外ともに販売量を伸ばし、採算が改善した。
シリコーン事業は売上高が1792億7500万円で同4・5%減、営業利益は425億4900万円で同2・5%増となった。シリコーンは、国内では化粧品向けや車載向けの出荷が好調に推移した。海外では汎用品が期前半に市場価格低迷の影響を受けたが、米国や中国、東南アジア向けの機能製品の出荷が堅調だった。
機能性化学品事業は売上高が1080億5800万円で同7・5%減、営業利益が222億3300万円で同22・2%増。セルロース誘導体は、国内では建材用製品が振るわなかったが、医薬用製品は好調な出荷を継続した。欧州のSEタイローズ社は塗料用製品や建材用製品が総じて順調に推移した。豪州シムコア社の金属珪素は、市場価格下落の影響を受けたが、出荷は堅調だった。
半導体シリコン事業は売上高が2526億1200万円で同3・8%増、営業利益は559億9100万円で同19・4%増だった。半導体シリコンはメモリデバイス向けが堅調に推移するとともに、ロジックデバイス向けもスマートフォン用をはじめ幅広い分野の需要に支えられ、出荷が好調に推移した。
電子・機能材料事業は売上高が1879億3800万円で同0・6%増、営業利益が552億900万円で同7・3%増となった。希土類磁石はハードディスクドライブ向けが振るわなかったが、ハイブリッド車をはじめとする自動車向けが堅調。フォトレジスト製品はArFレジストや多層レジスト材料が底堅く推移するとともに、マスクブランクスは好調な出荷となった。LED用パッケージ材料は一部顧客での生産調整の影響を受けたが、光ファイバー用プリフォームは堅調な出荷を継続した。
加工・商事・技術サービス事業は、売上高が979億1900万円で同5・3%減、営業利益が95億8400万円で同70・2%増。信越ポリマー社の自動車用入力デバイスや半導体ウエハー関連容器が好調に推移した。
18年3月期の連結業績予想は、変動する可能性がある外部要因を考慮し、現時点で今後1年間の業績予想を合理的に行うことは困難であるため、未定としている。