取材メモ クロロプレンの事業環境が改善

2017年05月29日

ゴムタイムス社

 「電子先端製品をはじめ全セグメントでの数量増効果が石化製品のスプレッド縮小や先行投資負担増をカバーし、売上高は過去最高の4000億円、営業利益は過去最高と同水準の300億円の増収増益を見込んでいる」。デンカの決算発表席上、次期18年3月期業績見通しを語るのは本年4月1日付で社長に就任した山本学社長。

 業績改善に大きく貢献するのがクロロプレンゴム(CR)の事業拡大と収益改善だ。「利益面ではエラストマー機能樹脂が27億円の増益を見込んでおり、販売価格差が200億円。クロロプレン、スチレン系製品の値上げ効果が大きく寄与する」としている。

 その背景について、「国内のCRについては、現在、鋭意値上げを実施している。国内の青海工場ではカーバイト法で生産しており、ブタジエン由来ではないが、世界のCRの価格はブタジエンで決まっている。ブタジエンの市況が今年に入り高騰し、それに伴って青海の工場も米国子会社のCRも値上げをしている。ブタジエンが上がったから値上げをするということでなく、採算是正を図るために実施している。その値上げの効果が17年度は大きく出てくる」と説明した。

 「低迷していた中南米はじめ、米国のCR需要もトランプ効果もあり回復しつつあり、アジアでも特に中国を中心として需要が活発化してきている」とCRの需要も堅調だ。世界のCRの生産能力約30万t弱の中、現在、需給は非常にタイトであり、CRメーカーのほとんどがフル生産に近い状態という。
 CRのトップメーカーであるデンカの山本社長は、「17年度は比較的高いレベルでの需要が続くとみている。これからブタジエンが下がってくるが、値上げは採算是正も兼ねており、利益をキチット確保していきたい。数量増効果、値上げ効果によりクロロプレンの事業環境は非常にいいと思う」とCR事業の拡大に意欲を見せた。

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