タイヤに求められる最も重要な性能は、どんな路面状況でもしっかりとグリップする力、つまり「すべらない」力だ。そのタイヤ技術は、すでに人間が走る場面に応用されていることをご存じだろうか。
世界屈指のタイヤメーカーである独コンチネンタル社は、2009年から、同じくドイツに本拠地を置くスポーツシューズメーカー、アディダス社のランニング/トレッキング用シューズの靴底に、ラバー素材を開発・提供している。
タイヤとシューズのコラボレーションは、2007年、「グリップ力を高めた早く走れる靴が作れないか」という悩みを持ったアディダス担当者とゴムのエキスパートであるコンチネンタルの担当者があるワークショップで出会ったことで生まれたとのこと。グリップ力が強くなると、地面との接触が良くなって摩擦力が増すため、より速いタイムで走ることが可能になるという。
コンチネンタル社は、これまでに培ってきたタイヤ技術、特にウェットグリップ性能の向上に関わるテクノロジーを投入し、アスリートが走るために最適なラバー素材の開発に力を注いだ。
その結果、2011年のベルリンマラソンで、パトリック・マカウ選手(ケニア)がコンチネンタル社製ラバーを