東海カーボン(東京都港区、長坂一社長)の16年12月期カーボンブラック事業の業績を振り返ると、ユーザーの生産量が微減傾向にあったため、販売数量ベースでは微減となった。利益面では、原料油の調達価格が前半は下げ局面が続いたものの、中盤以降はタイト感が出て、調達価格の差損を改善できなかった。
「特に、中国の石炭系原料油の源となるタールの発生量が、政府の環境規制によって減少したため、中国からの原料油が非常にタイトになっている」(真先隆史カーボンブラック事業部長)。
国内の生産動向では、若松工場、知多工場はフル操業が継続中。石巻工場については、年間生産能力を4万6000tに縮小したものの、フル操業には到っていない。
国内需要については、「自動車、タイヤの生産が安定していたため、カー黒の需要も安定した一年だった」(同社)
海外では、18万tの生産能力を持つタイで、競合相手の中国のメーカーが原料調達コストの上昇により競争力を失い、去年の年央からフル操業が続いている。一方、中国では生産能力を7万tに縮小したが、フル稼働には達していないとのこと。
北米でサーマル・ブラックを生産するカンカーブ社については、16年は販売数量が微減となったが、在庫調整が