日本ゼオンは５月29日、ＮＥＤＯ（新エネルギー・産業技術総合開発機構）が実施する超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクトに参画すると発表した。
ＣＮＴ（カーボンナノチューブ）の応用製品開発には、各特性の最適化のための実験的な試行錯誤に長期間を要するが、計算科学を用いたアプローチにより構造や組成から材料の機能を推測することで、大幅な効率化が可能になる。
国際競争力の強化を支援するこのプロジェクトは、産業技術総合研究所（産総研）、古河電気工業と同社の３者共同提案をＮＥＤＯが採択した。期間は今年度から２０２１年度まで。
ＣＮＴは産業界で実用化の動きが見え始め、今後の広範な応用が期待されるが、本来有する性能・機能を十分に反映した応用製品開発には、合成などで技術的なブレークスルーが必要で、研究期間が長期化することが懸念されている。特に電気的特性・熱的特性の最適化には、緻密な構造制御が必要で、現時点では実験的な試行錯誤が繰り返されている。
また実用デバイスでは、ＣＮＴ単体ではなく、他の材料との相互作用が複雑に絡み合い最適化パラメータが膨大になるため、計算科学などを活用して最適化の時間短縮をするなど、従来の取り組みと異なるアプローチで研究することが、材料開発の戦略上きわめて重要となっている。
同プロジェクトへの参画により、これまで実施しなかった計算科学というアプローチで、実用化が遠いと考えられていたＣＮＴの応用製品をターゲットに、構造や組成から材料の機能を推測する革新的なマルチスケールシミュレーション手法などを活用し、競争力の強化を図る。
