日本ゴム工業会は5月25日、第11回幹事会を開催し、事務局が各種統計の報告と資料配布を行った。資材関係については原油・ナフサ価格の推移、天然ゴム相場と在庫の推移などを報告した。
●原油・ナフサ価格の推移
原油相場は、産油国の協調減産を背景に、2月に55ドル/バレル近辺まで上昇したが、米国のシェールオイル増産、原油在庫増加、ドル高等から3月には下落に転じ、5月は50ドル/バレルを下回る水準となっている。
16年平均で見ると、ニューヨーク先物相場(WTI)は43・3ドル/バレルで、前年平均を5・5ドル下回り、17年平均(5月15日現在)は50・8ドル/バレルとなった。ドバイ原油の16年平均は41・4ドル/バレルで、前年平均を9・6ドル下回った。17年平均(同)では、52・2ドル/バレルへと上昇している。
ナフサ価格についても、原油価格に連れ、昨年9~10月に上昇に転じ、オープンスペック価格は1月に、輸入ナフサは2月に4万円を超えたが、その後、オープンスペックは再び下落に転じ、5月は3万5000円まで下げている。国産ナフサ価格も、第2四半期は前期比1800円減の4万円前後と3期ぶりに下落の予想となっている。
シンガポールナフサの16年平均は42・5ドル/バレルで、前年平均を10・0ドル下回り、17年平均(同)は52・4ドル/バレルとなった。
国産ナフサ価格の16年平均は3万2800円/klで、前年平均を1万3200円下回った。17年平均(第1四半期)では4万1800円/klとなり、前年に比べ9000円上昇している。東京オープンスペック価格の16年平均は3万400円/klで、前年平均を1万1100円下回り、17年平均(同)は3万8200円/klで、前年から7800円値上がりしている。
ブタジエンのアジア市況は、昨年9、10月に1579ドル/tまで上昇し、その後も中国の合成ゴム需要拡大等を背景に2月には3008ドル/tと、倍の水準まで上昇した。その後、在庫の増加、天然ゴム価格の下落などを受けて大幅に下落し、5月は1165ドル/tとなっている。
年平均で見ると、16年は1184ドル/tと、15年の898ドル/tに対しドルベースでプラス286ドル/t、円換算でプラス19円/kgとなり、さらに17年(5月15日現在)は2099ドル/tで、ドルベースではプラス1201ドル/t、円ベースではプラス130円/kgと上昇している。
●天然ゴムの東京相場・市中取引相場、生ゴム営業倉庫在庫の推移
天然ゴムの東京相場は昨年10月以降、上海相場での投機資金の流入や原油、ブタジエン価格の上昇などを背景に急上昇した。さらに、今年に入ると主要生産国タイの洪水による供給減少なども加わり、2月には当限が月間平均値で330円台まで一段と上昇した。その後、上海相場に連れて下落し、足元では当限が270円近辺、先限は220円近辺で推移している。
東京相場当限・東京相場先限・市中取引相場の16年平均は、それぞれ174・2円/kg、175・9円/kg、185・4円/kgで、いずれも前年平均を12・3円、19・8円、11・2円下回った。17年平均(同)は、それぞれ291・1円/kg、258・9円/kg、300・8円/kgで、116・9円、83・0円、115・4円上回っている。
生ゴム営業倉庫在庫は、昨年5月の1万2267t以降、減少が続いており、5月は3864tと1年前の3分の1ほどの水準となっている。
●主要原材料の価格動向
主要原材料の日銀企業物価指数の年間平均値の推移では、一昨年を100とすると、昨年の原材料はすべての品目で100を下回ったが、ブタジエンと天然ゴムは今年に入って急上昇し、特にブタジエンは194・5と倍の水準まで上がっている。エネルギーは、都市ガスが70を下回る水準まで大幅に下落し、電力も90前後まで下落している。
主要原材料の昨年5月から今年4月までの企業物価指数の推移については、一昨年を100とすると、天然ゴムは昨年12月から急上昇を示し、1月に100を超えた。さらに4月は138・9となり、1月に比べプラス36・0と大幅に上昇している。
合成ゴムは1月まで90を下回っていたが、2月以降は原油・ブタジエン価格に連れて上昇し、4月は108・4と100を超える水準で推移している。カーボンブラックも今年に入り上昇傾向を示し、2月に90を超え、3、4月は92・5となっている。