カーボンブラック世界1位のキャボット社の一翼を担うキャボットジャパン。山梨展明キャボット社日本事業統括取締役に現況や展望を尋ねた。
―足元の需要動向は
自動車生産やタイヤ生産が回復し、一時の苦しい時代は抜けたと感じる。ただ、中国での石炭価格の不安定さや原料の調達など、厳しい状況が続いている。カーボンブラック市場の風向きが変わってきた。
―中国の状況をもう少し詳しく
昨冬以降、中国政府の環境規制によって石炭系原料油の生産が減少し、中国でカーボンブラックの生産量が落ち、価格競争力も下がった。大きな市場で状況が急激に動くと、瞬間的な原料不足や過剰が起こる。そうしたリスクを吸収するためにもマーケティングが大変重要で、これまで以上に中国の動向を注視し、潮目を読む必要がある。
当社は世界18ヵ所に生産拠点を持ち(うち中国3拠点)、特に中国市場での情報収集にリソースを投入して知見を深めている。ユーザーからも中国に関する問い合わせが非常に多く、そうした要望に応えることもサービスの一つと考えている。
―国内の動向は
中国品カーボンブラックの価格競争力が下がり、日本への輸入も減少している。国産品への需要は高くなっているが、原料がタイトで高価格という厳しい状況は今後も続くだろう。
キャボット社では、アジアリージョンやグローバル規模で情報共有を行っており、どこで安定調達できるかなどの情報を常に共有している。これは大きなメリットだ。
―安全対策について
当社下関工場で、5月18日現在、無事故・無災害1万1928日を達成した。日数より何をやっているかが大事。これだけ日数が大きくなると、社員も意識して、記録が「何をするか」の質を上げるという好循環につながっているようだ。
キャボット全体でも安全に関する様々な施策を行っている。まず、社内にいる設備機器の専門家が130年以上のカーボンブラック製造の経験を生かし、構造的にリスクの高い設備からリストアップして監査を行い、危険の芽を摘んでいる。
もう一つ、「ベスト・プラクティス・シェアリング」、良い経験を