日本ゼオンは6月7日、子会社のゼオン化成がメキシコで、塩化ビニル樹脂(PVC)を原料とするパウダースラッシュ材料(PSC)の生産工場の稼働を開始したと発表した。
ゼオン化成はメキシコ合衆国に一昨年7月、「Zeon Kasei Mexico S.A. de C.V.(ZKMX、篠原一人代表)」を設立し、昨春からサンルイスポトシ市コリナス工業団地の新工場を建設していた。同工業団地は、メキシコ国内の日系・欧米系の自動車メーカーを始め、北米との交通アクセスに優れ、充実したインフラ環境を整えている。
第1期は年産1200tの能力でPVCパウダースラッシュ材料(PVC/PSC)の生産を行う。市場の拡大に合わせて、第2期には年産1200tの能力増強を行い、合計年産2400tの能力に拡大していく計画だ。
PVC/PSCは意匠性・成型加工性に優れ、安価でもあることから、インビジブル・エアバッグ・システム用表皮材として、国内自動車メーカーはもとより、海外自動車メーカーへの採用が進んでいる。
供給の安定性と地産地消の観点で建設された新工場は、拡大する北米、メキシコ自動車生産に対応していく。これにより、ゼオン化成のPVC/PSC事業は、国内の茨城工場、海外では中国の常熟工場、今回のメキシコ工場と3拠点体制となった。研究開発でもさらに高機能化を進めた次世代表皮材料の上市を予定している。
将来は、今後検討を開始する欧州拠点を加えた4拠点化によるグローバル・サプライチェーンの構築を目指しており、世界で拡大を続ける自動車産業にグローバルに貢献していく方針だ。