尾高ゴム工業(和歌山県紀の川市、東山邦裕社長)はゴムロールのパイオニアとして、多様な産業分野で製造現場を支えている。
16年度は、売上が前期比5%増を達成し、利益面でも過去最高益を記録して増収増益となった。国内製鉄業界の統合で生産ラインは減少傾向にあるものの、ニーズに合った高機能品を提供することができた。
「この流れをうまく横展開させて伸ばしたい。そのためにも、お客さまのニーズを的確に掴むことが大切だ」(玉置勇取締役営業担当)。
製品別の需要動向では、主力であるハイクラッチシリーズで、ウレタン系原料を使用した「ハイクラッチU」が堅調に伸びている。
また、タフエースシリーズは、材質の変更によって長寿命化を図り、酸洗ラインを中心としたリンガーロールで販売実績が伸びている。
「お客さまはいかに寿命を延ばして交換回数を減らし、コスト削減できるかに注目している。そうしたニーズにフィットした製品開発を今後も続ける」(氏野孝二取締役技術・開発担当)。
その他、「ガッツラバー」が、製鉄生産ラインのループカーセクションで使用されるサポートロールで、採用が増加している。従来はウレタンロールの他、鉄やメッキなどのロールが使用されていたが、ガッツラバーの耐エッジ摩耗性と長寿命が評価された。
「ラインを通過する製品(鉄)に高品質が要求されるほど、小さな傷でも問題になる。搬送ロールといった消耗品にも、高品質が求められる状況になってきた」(同社)として、ガッツラバーが他の用途分野にも展開できると期待している。