今年上半期のゴム関連企業の海外進出社数は、一時期の海外進出ラッシュが沈静化して大幅に減少した前年同期からさらに激減し、5社に留まった。特にタイヤメーカーは海外拠点の整備が進んだため、今期はゼロとなった。進出先としては、前年同期は米国とメキシコが4割を占めたが、今期はアジアが4社、欧州が1社となっている。
原材料
◆三福工業
三福工業は2月13日、タイ・チョンブリ県に「チャロエンシン・グループ(チャロエンシン・ホールディング社)」と合弁で、フッ素ゴムコンパウンドの製造販売会社「CSミツフク・エラストマーズ社」を設立し、7月から生産開始の予定と発表した。
資本金は2800万バーツ(約9000万円)。出資比率はチャロエンシン・ホールディング社が51%、三福工業が49%。
チャロエンシン・グループはタイ国内にゴムコンパウンド製造販売会社「CSラバー・インダストリー社」を展開しており、同国の中堅コンパウンダーに位置付けられている。
新会社では、三福工業が保有するフッ素ゴムコンパウンドに関する一連のノウハウと、チャロエンシン・グループが保有する経営資源やノウハウを融合させることで、様々なシナジー効果が生み出されることが期待される。
三福工業から新会社へは、マネージング・ダイレクターを駐在派遣するほか、同社からの出張派遣、新会社からの研修受け入れなどを行い、早期に安定した品質での立ち上げを目指す。
◆デンカ
デンカは2月14日、シンガポールで「デンカライフイノベーションリサーチ・プライベートリミテッド(DLIR)」の開所式を13日に開催したと発表した。
シンガポール政府は、バイオメディカル・サイエンス研究体制の発展のため、国内外の研究機関や企業を積極的に誘致している。バイオ研究ハブ「バイオポリス」には、シンガポール科学技術庁(A*STAR)のバイオ研究機関のほか、世界のバイオ関連企業が集結しており、官民が連携して先進的で活力のある研究開発が進められている。
デンカグループは、1980年にアセチレンブラックの製造工場を開設して以来、シンガポールを生産拠点のみならず、東南アジアにおけるヘッドクォーターと位置付けて事業を展開している。
また、持続的成長が期待される健康・ライフサイエンス関連事業を強化しており、DLIRの開所を期に、オープンイノベーションを一層推進し、ジカ熱やデング熱などの熱帯感染症に対する遺伝子法による簡易診断システムや、同社の保有する植物を用いたたんぱく質産生技術による季節性インフルエンザワクチンなどの研究開発を加速していく。
工業用品
◆住友理工
住友理工はグローバルに自動車用部品の拡販を図るためドイツ・フランクフルトに新たに第2グローバル自動車営業本部(フランクフルト・SRK―EU)を2月1日付で設置する。
国内の第1グローバル自動車営業本部(名古屋・グローバル本社)とともに2本部体制とし、全世界での拡販活動を加速させる。
第1本部ではトヨタや日産など日系全自動車メーカーと部品メーカー、第2本部ではVWやFCA、長城汽車、Heroなどの海外自動車・部品メーカーへの拡販を図る。
新体制では第1・2本部ともに南野高伸常務執行役員が本部長に就任。人員も両部門合わせ280人体制に強化する。
住友理工は自動車用防振ゴム、ホースの自動車用部品では日本、米州、欧州、中国、アジア・インドの世界5極で生産・営業拠点を設けており、第1本部では日本国内での顧客密着活動、グローバル・コスト・イノベーション活動を推進、第2本部では海外での生産準備サポート、拠点見積作成を担う。
同社では2本部制の導入により、2015年度の自動車用部品の総売上高3700億円(海外売上高700億円)を2020年度には海外売上高の比率を高めることで4300億円までに拡大させる計画だ。
◆ニッタ
ニッタは2月27日、タイの連結子会社「ニッタ・コーポレーション(タイランド)」(NCT)の工場完成に伴う竣工式を、20日に現地で行ったと発表した。
式典には、プロクデン市マーヤンポン区区長、タイ国工業団地公社(IEAT)、タイ国投資委員会(BOI)などの政府関係者、顧客ら総勢80人以上が参加。新田元庸ニッタ社長があいさつを行い、地域の人々や顧客と共にタイの発展に貢献していくことや、安全で安定した工場操業・事業運営に全力で取り組んでいく決意などを示した。
ニッタはASEAN市場でのホース・チューブ製品の売上拡大を図るため、一昨年3月にラヨーン県アマタシティー工業団地内にNCTを設立。工場建設を進め、昨年2月に完成、6月から量産を開始した。竣工式については、昨年10月にプミポン・タイ国王の崩御を受け、開催を自粛していた。
NCTでは一般産業向けナイロンチューブ、トラック用途向けエアーブレーキチューブ・継手を生産している。
◆スター精機
取出ロボットを核に、トータルエンジニアリングを展開するスター精機は4月6日、韓国に現地法人「スター・セイキ・コリア」を設立し、3月から業務を開始したと発表した。
住所は150、NAMDONG―DAERO、NAMDONG―GU、INCHEON、KOREA。電話番号は+82―32―817―0770、責任者は宋昌東氏。
事業内容は、射出成形機用取出ロボットの販売・据付・修理・技術指導、製品取出用チャックの設計・製造・販売・技術指導、「Eins(アインツ)」ブランドのチャックパーツ販売。