東洋ゴム工業㈱(中倉健二社長)は、シンガポールのYHI・インターナショナル・リミティッドの子会社YHIコーポレーション(シャンハイ)社と中国市場におけるNITTO(ニットー)ブランドの乗用車用タイヤ販売構想に合意し、10月17日、基本契約を締結したと発表した。
同社が展開するNITTOブランドは、北米を中心に、付加価値の高い大口径タイヤカテゴリー(17インチ以上が90%を占める)で高い支持を得ており、モータリゼーションが著しく進んでいる中国市場への進出を成長戦略の柱と位置づけている東洋ゴムとYHIが重んじるプレミアム品戦略の考え方が一致した。
同社のビジネスパートナーとなるYHI社はシンガポール証券取引所に上場する、アジア有数のタイヤ販売およびホイール製造販売を手がけるグループ。自動車用タイヤ(日系、中国、インド、タイなどの15タイヤブランド)、バッテリーを販売する流通部門をもち、中国を含めたアジア各国に販売網を構築している。 中国市場では27省、4自治区に卸売業者を指定し販売を行っており、高付加価値の大口径タイヤ販売におけるホイールサプライヤーとしての販売ノウハウ、知見を生かし、中国北東部では4×4、SUV、軽トラック、沿岸部では乗用車用向け高品質の高級タイヤをターゲットに2015年度までにNITTOブランド
100万本の販売を目指すとしている。
東洋ゴム工業は中期経営計画「中計’11」の最終年となる15年度までの5年間で、NITTOブランドの販売数量を現在の約2・6倍(675万本)に、NITTOブランド比率を10年度の9%から15%まで高め、北米市場の拡販、アジアや南米、オセアニアなどグローバルに展開エリアの拡張を図ることで全世界で10億ドルの販売を計画、中国市場では1億ドルの販売を目指す。
同社はマレーシア、中国、米国TNAでの生産基盤の整備を積極的に進めており、独自ブランドである「TOYO TIRES」「NITTO」の2トップブランド戦略により、アジア、日本、北米での3極供給体制によるグローバル事業展開で15年度にタイヤ売上高3100億円を計画している。
記者会見でYHIグループの総代表、リチャード・テイ氏は「NITTOとのパートナーシップはYHIの中国における存在を強化するものであり、知名度の高いNITTO社のウルトラ・ハイパフォーマンスタイヤ、大型SUV及びライトトラック用タイヤの販売は両社に相乗効果をもたらす」とあいさつ。
同社ではNITTOブランドの販売を香港、ニュージランドでも展開しており、今回の中国市場での販売に続きオーストラリアでの販売も計画している。東洋ゴム工業は仙台工場、第3次拡張が完了した米国TNA工場から供給する。