オランダの化学大手DSMは6月19日、中国大手カメラメーカーのイー・テクノロジー向けに高機能の熱可塑性エラストマー「アーニテルTPE」の供給を開始すると発表した。
ミラーレスカメラの新製品「Xiaomi Yi M1」のハンドグリップの素材として採用され、より優れたグリップ力と滑らかな触り心地を実現する。
昨年発売された「Xiaomi Yi M1」は、わずか280gと軽く、スマートフォンのようなタッチパネル式のシンプルかつ簡単な操作で人気を博している。今回、アーニテルをハンドグリップに採用したことで、手振れ対策の一助となった。
また、現在「Xiaomi Yi M1」の2つのモデル、ストームブラックとアイスシルバーにアーニテルの黒色バージョンが採用されているが、DSMでは白色を開発しており、今後投入される予定の新モデルに提供する予定だ。
アーニテルは、二色成形に最適なことから、保護機能と美観に優れていることが特徴。そのため、スマートウォッチやフィットネスリストバンド、ブルートゥースイヤホンなどに多く採用されている。
また、ストラップやスマートフォンカバーの素材としても幅広く使用されているが、カメラのハンドグリップとしての使用は今回が初めて。また、ポリカーボネート(PC)との接着性にも優れており、「Xiaomi Yi M1」ではPC/ABS樹脂とアーニテルを結合して使用している。
アーニテルを採用した製品は、肌への刺激やアレルギー起因の心配(ポリアミドはUSPやISOから生体適合性を認証されている)がなく、優れた触感を提供する。また、劣化の原因となる汗やスキンケアオイルなどの液体や紫外線にも強いため、触り心地の良さが長期間持続する。
メーカーにとっての使いやすさもアーニテルの特徴で、射出成型によって簡単に大量生産でき、ABS樹脂や熱可変性のポリエステル、ポリカーボネートといった他の熱可塑性プラスチックとともに、被覆材量としても使用することができる。さらに、100%リサイクルが可能だ。
こうした特徴から、ブルートゥースオーディオや保護ケースなど、優れた触感が求められる様々な製品へと用途を拡大していくことが期待されている。
DSMとイー・テクノロジーは「Xiaomi Yi M1」向けのハンドグリップの開発に向け、密接に協力してきた。DSMでは、素早いレスポンスなどのローカルサポートと、ヨーロッパや中国を拠点とした研究や用途開発といったグローバルサポートを組み合わせて実現した今回の実績をもとに、日系メーカー各社への提案を強化していく考えだ。