日本ミシュランタイヤは6月26日、都内でスタッドレスタイヤの新製品記者発表会を開催し、乗用車用「X―ICE3+(アイス3プラス)」と商用車用「AGILIS(アジリス)X―ICE」を8月1日から発売すると発表した。
同社がスタッドレスタイヤの新製品を発表するのは5年ぶり。商用車用スタッドレスタイヤを国内で発売するのは初めてとなる。
乗用車用は現行品の「X―ICE3」の総合性能はそのままに、「Mチップ」と呼ばれる物質を「表面再生ゴム」の中に配合することで、アイスブレーキ性能を現行品に比べ新品時で4・5%、摩耗時では11・5%向上させた。
そのメカニズムは、表面再生ゴムの摩耗が進むと、タイヤ表面に出たMチップが溶けて無数の穴が現れる。この穴が氷の表面にある水分を除去することで、タイヤが氷に密着する。表面がすり減っても常に無数の穴が再生されるため、アイスブレーキ性能が長期にわたって持続するというものだ。
表面再生ゴムの中にはMチップが詰まっており、溶けるのはタイヤの表面に出た時だけなので、ブロック剛性が低下することはない。
発売するのは全15サイズ。消費者ニーズに応じて、来年以降、サイズを拡張することを考えている。
一方、商用車用は195/80R15LT107/105Rの1サイズのみの発売となる。これは、日産キャラバンやトヨタ・ハイエースといった商用車の代表車種に適合するものだ。
高速道路の一部で速度規制が緩和される見込みであることから、最高速度170km/hまで走行可能なスペック(速度インデックス=R)としている。
発表会の冒頭あいさつを行ったポール・ペリニオ社長は、日本でのスタッドレスタイヤの先駆けとして、同社が1982年に発売を開始して以来、今年で35年になることを紹介した。
また、日本市場に適合したスタッドレスタイヤを開発するため、群馬県太田市の研究・開発センターで研究・開発を行い、北海道士別市でテストを実施していることに改めて言及していた。
新製品の説明を行ったマーケティング部の望月一郎ブランド戦略マネージャーは、開発に当たって同社がアンケートを行ったところ、消費者の多くが新品時も使用中も、スタッドレスタイヤに求めるのはアイスブレーキ性能であり、交換に当たっては摩耗末期まで使いたいと望んでいることが分かったと説明。消費者ニーズに応えるため「アイスで止まる安心感。永く効き続ける信頼感。」をキャッチコピーとして、新製品を開発したと述べた。