三菱ケミカルは6月29日、耐油性・耐摩耗性に優れた柔軟なポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)「テファブロック」の新グレードを開発したと発表した。
テファブロックは、TPCが本来持つ高耐熱性・高耐油性・高耐摩耗性に加え、ポリカーボネートやABS樹脂など、様々な硬質材料との熱融着性に優れており、主にグリップ類やパッキンなどの2色成形分野で広く採用されている。
テファブロックも含め、TPCは高硬度領域(デュロメーター80A~50D)で、優れた耐油性・耐摩耗性を発現するものの、低硬度(同50A~80A)になると、性能が低下してしまうことから、柔軟で高耐油性・高耐摩耗性を有するTPCが求められていた。
今回、同社が開発したテファブロックの新グレードは、従来とは異なる特殊な材料設計を施すことにより、ゴムのようなしなやかさ(同50Aまで対応可)と高硬度TPC並みの高い耐油性・耐摩耗性を両立させた。
すでに、高い柔軟性と耐油性・耐摩耗性が要求される自動車向け機構部品への採用が始まっており、今後は、スキンクリーム耐性が必要とされる電動工具等の耐久消費財向けグリップ類など、従来品では対応が難しかった用途での採用が期待される。
また、2色成形可能な硬質材料の種類を拡充させるため、現在、各種ナイロンへの適用に向けて研究開発を進めている。
同社は、全世界でこのテファブロック新グレードの用途開発・市場開拓を推進させ、機能性樹脂事業の拡大を一層加速させていく方針だ。