作業者の安心・安全に向け商品開発
自動車の足回りサービス機器の製造販売する専門サプライヤーとして全国展開している東洋精器工業(兵庫県宝塚市、阿瀬正浩社長)。2016年創業70周年を迎え、さらなる成長を図る同社に、事業内容や今後の見通しなど上霜和訓取締役第1営業本部長に聞いた。
―事業内容について。
主にタイヤチェンジャーやホイールバランサー、アライメントテスター、リフトなど足回り関連機器の製造販売をしている。本社をはじめ、全国13カ所に営業所があり、営業担当者は全国で40人ほど。名古屋以東は第1営業部、大阪以西は第2営業部が統括している。主な取引先である国内タイヤメーカーや卸売業者、カーショップなどに向けて、一人ひとりがセールスエンジニアとして販売とメンテナンスサービスの充実を図っている。
―主力の足回り関連機器以外の取扱い商品は。
ピットで使用するインパクトレンチやエアジャッキなどの付帯器具も扱っており、乗用車用とトラック・バス用の2種を用意している。
また、作業の安心・安全を商品開発のテーマとし、その一例としてタイヤ空気充てん作業時の事故防止のため、使用環境に合わせて様々な製品を開発・販売をしている。そのひとつが、セーフティケージ。以前はケージに入れずエアー充填作業を行うことが多く、タイヤのバーストによる死亡事故が多発していた。こうした事故を防ぐ対策は各社で行ってきたが、2012年からタイヤ業界全体での取り組みが開始された。当社では、人命に最も影響を及ぼす爆風そのものを防ぐ商品群として「ケージ用爆風保護シート」、出張作業用「セーフティーバッグ」、折畳みが簡単な「折畳み型移動式ケージ」などを提案することで、作業者が安心して安全に作業できる環境づくりに取り組んできた。最近販売を開始したセーフティケージ「ブラインドケージ」は、爆風を防ぐとともにタイヤの状態を外から確認できるようになっている。卸業者やカーショップへ提案をしつつ、今後も作業者の安心・安全に関してハード、ソフト両面から業界への啓発活動を行っていきたい。
―主な仕入れ先は。
ヨーロッパやアジアのメーカーおよび国内メーカー。当社の主力商品であるタイヤチェンジャーやホイールバランサーは20年ほど前までは国内でも弊社オリジナル機を生産していたが、その後は本場イタリアなどヨーロッパ製品を取り扱うようになり、近年はアジアの商品の伸びが著しい。時代の流れで市場が価格を重視する傾向が年々強くなっている中で、厳選した品質の良い低価格なアジア商品の取扱いを増やすことで高額商品と汎用品のラインナップが増え、その結果、お客様の使用ニーズに合わせた商品をご提案することができるようになった。
―需要動向と今後の見通しについて。
リーマンショック以降目立って伸びている分野はないが、タイヤチェンジャーとホイールバランサーの販売は堅調。弊社はメーカーとしての位置づけでありながらメンテナンスも自社で対応している。ご使用いただいているユーザー様へ直接訪問しているので買い替え時にも弊社製品を御指名いただくリピートの取引ケースも多い。直近では東京オリンピック関連で物流分野の動きが活発になっており、当社の業績にも好影響が出ている。
また本社・13営業所のうち6ヵ所に研修センターを設置し、取引先の新人研修に利用していただいている。当社講師による実習や座学研修、フリー研修などさまざまな研修パターンに対応し、実際に機械に触れてタイヤ交換やエアー充填などの作業を実習できる。こうした場の提供を通して、業界全体の発展に寄与していきたい。