東洋ゴム工業は7月10日、兵庫県伊丹市に移転した本社を報道陣に公開した。
同社は、機能集中による緊密な連携と結束、意思決定の迅速化を図ることにより、さらなる企業価値の創造をめざすことを目的に、本社移転を行った。
2012年5月に東京本社機能を解消して大阪本社に統合・集約し、2013年11月には基礎研究開発を行なう拠点として東洋ゴム基盤技術センター(兵庫県川西市)を開設した。今回の本社移転によって、隣接する本社機能とタイヤ技術開発機能、そして研究開発機能が至近エリアに集積することになる。
そのメリットについて、取締役常務執行役員コーポレート統括部門管掌櫻本保氏は、「以前は肥後橋と伊丹を移動するだけでも少1時間はかかっていたので、時間の節約効果はもちろん大きい。ただ、時間だけでなく、一緒に仕事をすることにより生まれる一体感が非常に大きい。本社と技術との双方向のコミュニケーションが増えているのも実感している。想像以上に効果がある」と強調した。
櫻本氏は、1953年に伊丹工場を開設以来、1999年に約半世紀に及ぶ歴史に幕を閉じ、タイヤ生産拠点としての役割を終えた伊丹に、再び戻って来たことを説明し、「創業以来のゆかりの地に本社を構えたことは、あらゆる意味で第二の創業にも値する大きな転換であるととらえ、この伊丹から調和、誇り、変革を合言葉に、新たな歴史を作っていきたいと思っています」と話した。
既に5月29日より、業務を開始している新本社ビルは、地上6階建てで、執務フロアである4~6階の上層階がタイヤをモチーフにした円形の外観構造となっている。
この3階層の中心部を吹き抜け構造として、「コミュニケーションコア」と命名し、誰もが気軽に集まり、カジュアルに対話できるスペースを配置するとともに、オフィスはこの中心に向かって年輪のように円形にデスクが配席され、一体感を醸成できるレイアウトになっている。
旧本社では、部署ごとに独立、フロア毎に分断されたオフィスだったが、新本社では部署を背中合わせで配席しているため、モニターを見ながらすぐに相談もできるなど、より一体感を高められる配置となっている。
同社が行った新本社勤務者を対象にした意識調査でも、「部内でのコミュニケーションが取りやすくなった」「メール・電話よりも、席に足を運んで、コミュニケーションをするようになった」などと感じる社員が過半数以上いることが明らかになるなど、レイアウトによる効果が