旭化成 シンガポールでS―SBR生産能増

2017年07月24日

ゴムタイムス社

 旭化成は7月24日、シンガポールの低燃費タイヤ向け溶液重合法スチレンブタジエンゴム(S―SBR)の生産能力を約3万t/年増強し、2系列で合計13万t/年とすることを決定したと発表した。

 シンガポールでは2013年から生産を開始し、新開発の高性能銘柄を投入するなど市場の要求に応えてきたが、さらなる需要拡大と顧客のニーズに応えた供給体制の拡充を図るため、生産能力を増強することにした。再来年の1月から稼働する予定。

 低燃費タイヤは、新興国でのモータリゼーションの進展によるタイヤ生産の拡大や、世界的なタイヤに対する環境規制の強化などを背景に、これまで急速に市場拡大しており、今後も高い成長が見込まれている。

 同社グループの中期経営計画「Cs for Tomorrow2018」では、マテリアル領域のS―SBR事業を重点戦略事業と位置づけ、グローバルに展開するとともに自動車用途向けなどでの拡大を目指している。

 同社のS―SBRは、連続重合プロセスを主力とし、独自の技術開発によりタイヤの低燃費性とブレーキ性能を高次元でバランスさせながら、耐摩耗性や操縦安定性の改良も実現しており、国内外の顧客から低燃費タイヤに最適な材料として高く評価され、現在は日本(神奈川県、大分県)とシンガポールに製造拠点がある。

 今後も供給体制の拡充とともに、さらなる高性能品の開発に取り組み、世界No.1のポジションを確固たるものにしていくとしている。

 

 SーSBRの生産能力

 低燃費タイヤ向けに需要が拡大しているS―SBRは合成ゴム各社が競って生産能力増強を進めている。今回の旭化成のシンガポールでの能増発表により、2019年までに日本国内4社の国内工場を含むS-SBRの総生産能力は66万3000tとなる。

 

     S-SBR各社の生産能力
単位・年産t本紙調べ
旭化成川崎工場105,000
大分工場35,000
シンガポール130,000
(19年1月に能増稼働)
合計270,000
JSR四日市工場60,000
タイ100,000
ハンガリー60,000
(18 年稼働予定)
合計220,000
日本ゼオン徳山工場55,000
シンガポール70,000
合計125,000
住友化学千葉工場8,000
シンガポール40,000
合計48,000
4社総合計19年に663,000t

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