天然ゴムと合成ゴム需給|合成ゴムの基礎知識

2017年07月23日

ゴムタイムス社

 新ゴム消費量 日本は世界第4位にダウン

 自動車タイヤ、各種産業用ゴム製品(ベルト、ホース、自動車用部品)、医療用製品などのゴム製品を作る原料には、天然ゴムと合成ゴムが使用されれる。合成ゴムはナフサを分解してできる、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどの石油化学基礎製品から作られる石油化学誘導品の一つ。化学構造の違いからジエン系(R)、オレフィン系(M)、多硫化系(T)、シリコーン系(Q)、フッ素系(FK-)、ウレタン系(U)、およびエーテル系(O)などに分類される。

 天然ゴム(NR)はゴム樹から採取される一次産品で凝固方法により、ラテックス(液状ゴム)、RSS(シートゴム)、TSR(技術的格付けゴム)に分けられます。液状ゴムは糸ゴム、ゴム手袋、接着剤に使用され、シートゴム、TSRはタイヤに使用される。

 世界の新ゴム消費量

 国際ゴム研究会(IRSG)がまとめた世界の新ゴム消費量(天然ゴム、合成ゴム)によると、2016年は2721万1000tで前年に比べ1・6%増加した。

 新ゴム消費量1位の中国は900万5000tで同1・3%増、2位の米国は284万3000tで同2・1%減、前年4位で日本を抜いて3位に浮上したインドは162万5000tで、同5・8%増。BRICsの中で高い経済成長率を維持するインドは、新ゴム消費量も増加基調にある。4位の日本は155万tで同2・4%減となり、国内自動車生産の低迷や資源関発の低迷などの影響を受け、2012年以降、減少傾向で推移している。

 日本の新ゴム総需要量は240万t

 日本における16年の新ゴム需給総量は、日本ゴム工業会・ゴム需給調査会によると、輸入、国産を合わせた供給量は238万1440t(同5・4%減))となり、国内消費、輸出を合わせた需要量は239万6130t(同0・7%増)となった。

 新ゴム総供給量のうち天然ゴムは輸入量が65万9730t(同3・3%減)、合成ゴムは輸入量が15万6050t(同6%減)、国内生産量156万5660t(同6・2%減)となり、輸入、国内生産合計の総供給量は238万1440t(同5・4%減)となった。

 これに対し、国内消費、輸出合計の新ゴム総需要量は天然ゴムが国内消費67万5500t(同2・2%減)、輸出150t(同6・3%減)の計67万5650t(同2・3%減)、合成ゴムは国内消費86万6400t(同3・2%減)、輸出85万4080t(同7・6%増)の計172万480t(同1・9%増)となり、総需要量は239万6130t(同0・7%増)の横ばいとなった。

 新ゴム総需要量に占める天然ゴム比率は28%、合成ゴム比率は72%。

 世界の天然ゴム需給

 16年の世界の天然ゴムの総生産量は、1229万5000tで同0・2%増。 国別では、1位のタイが440万9000tで同1・4%減、2位のインドネシアは315万8000tで同0・4%増となった。 3位は天然ゴム産出の新興国のベトナムで、103万2000tで同1・5%増。4位の中国は77万4000tで同2・5%減となり、14年以降減少傾向にある。5位のマレーシアは67万4000tで同6・6%減となり、上位5ヵ国で全生産量の8割強を占める。 6位以下で大きく生産量を増やしているのが、インド(同7・8%増)、コートジボワール(同11・9%増)、ミャンマー(同8・4%増)、カンボジア(同17・2%増)となっている。

 日本の供給量

 日本国内における16年の天然ゴム供給量は65万9730t(同3・3%減)で100%輸入に依存している。需要量は67万5650t(同2・3%減)となった。

 世界の合成ゴム需給

 16年の世界の合成ゴム生産量は1456万3000tで同0・6%増となり、2年連続で増加した。 国別では、中国が279万1000tで同1・1%減、2位の米国は236万7000tで同1・0%減。3位の日本は155万6000tで同6・1%減となり、前年の4・3%増から減少した。 4位以下で前年を上回ったのは、ロシア(同6・9%増)、ドイツ(同1・3%増)、シンガポール(同47・6%増)となっている。

 日本の供給量

 16年の日本における合成ゴムの供給量は172万1710t(同6・1%減)でこのうち156万5650t(同6・2%減)が国内生産。残る15万6050t(同6・0%減)が輸入による供給となっている。

日本ゴム工業会 ゴム需給調査会

2016年の新ゴム需給総量(日本ゴム工業会 ゴム需給調査会)

日本ゴム工業会 ゴム需給調査会

2016年の新ゴム需給総量(日本ゴム工業会 ゴム需給調査会)

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