精密測定機器総合メーカーのミツトヨは7月26日、光周波数コム装置を基準とする校正業務のJCSS認定を取得した民間の認定事業者として、4月28日に日本で初めて登録されたと発表した。これにより、長さの国家標準と同等の性能をもつ光周波数コム装置を頂点としたミツトヨのトレーサビリティ体系を構築することとなった。
1メートルの長さの定義は、光が真空中を2億9979万2458分の1秒間に進む距離であり、光周波数コム装置は、時間の国家標準にトレーサブルな基準周波数発振器を基準に正確な光周波数を発生させることのできる「光周波数のものさし」。同装置は、長さの基準として使われている、よう素分子吸収線波長安定化He―Neレーザ装置等の正確なレーザ光の波長である「長さのものさし」を校正することができる。
光周波数コム装置は、今までの同社の長さの基準であった特定二次標準器のよう素分子吸収線波長安定化He―Neレーザ装置を基準とした校正の最高測定能力4・2×10―11の約380倍という、世界トップレベルの最高測定能力1・1×10―13を達成した。
今までの最高測定能力は、東京から博多までの約1000kmを髪の毛の太さくらい(約0・05mm)の精度で測定する能力に相当し、光周波数コム装置の最高測定能力は、地球から月までの距離(約38万km)を髪の毛の太さくらいの精度で測定する能力がある。
光周波数コム装置の基準である基準周波数発振器は、産業技術総合研究所の時間の国家標準である原子時計とトレーサブルであり、GPSを介した遠隔校正により約960秒周期で常時校正されている。
同社は光周波数コム装置のシステム性能を確認、維持するために、社内に2台の光周波数コム装置を整備し、定期的に相互比較評価を行い、最高の性能を確保している。