三菱ケミカルは8月23日、炭素繊維複合材料をハイサイクルプレス成形(PCM工法)で製品化したルーフが、アウディ社から6月に発売されたプレミアムスポーツクーペ「アウディA5」シリーズのトップモデル「RS5クーペ」に採用されたと発表した。
ドイツの同社グループ会社で、自動車用炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製部品メーカーであるベティエ・カーボン・コンポジッツ(ベティエ社)がPCM工法でルーフに成形し、アウディ社に納入する。
ドイツを中心とする欧州の自動車市場では、燃費規制やCO2排出規制の強化を背景とした車体軽量化への関心が高まっており、高い強度と軽さを併せ持つCFRPの自動車部材を本格的に採用する動きが加速している。
同社が独自に開発したCFRP部材の量産成形技術であるPCM工法は、積層したプリプレグ(樹脂を含浸させたシート状の炭素繊維中間基材)をプレス機で圧縮成形することで、約5分のサイクルタイムで自動車向け部材の量産を可能にした。
また、成形品の表面の平滑性が高いため、アウターはクラスA塗装が可能で外板部材としても活用できるが、今回さらに工法を改良することで、品質に対する要求レベルが非常に高いアウターで、塗装ではなくカーボン織物仕様としたルーフを成形することが可能となった。
今回のアウディ社での採用は、アルミニウムで成形した同じ部品と比較して約40%もの大幅な軽量化が実現した点に加え、この軽量化により自動車の重心が低くなり運転性能が向上した点、さらにアウターをカーボン織物仕様とし、高品質で魅力的な意匠性を兼ね備えたルーフの量産化を実現できた点が高く評価された。