信越化学工業は8月28日、米国でシリコーンの製造・販売を行う子会社のシンエツ・シリコーンズ・オブ・アメリカ社(SESA社)のアクロン工場(オハイオ州)の生産能力を増強すると発表した。設備投資額は24億円で、増強工事は再来年半ばの完成を目指す。
同工場では、成形用シリコーンゴム、接着およびシール用液状シリコーンゴム、化粧品用シリコーン、自動車や電子部品用の放熱シリコーンなど、多様な形態と用途を有する各種シリコーン製品を生産している。今回の投資は、それら製品の生産能力を増強し、さらにシリコーンエマルジョンの生産設備を新設するもの。
信越化学は2014年以降、タイの工場の生産能力増強と事業用地の取得、日本国内の工場の生産能力増強、シリコーン電子材料技術研究所(群馬)の新棟建設など、シリコーン事業で設備投資を積極的に実施している。今回の増設投資を含め、直近4年間のシリコーン事業での累計投資額は650億円に達する。
SESA社は同社のシリコーン事業の北米拠点で、アクロン工場に加え、フリーポート工場(テキサス州)で機能性シランを生産している。また、一昨年にはニュージャージー州にテクニカルセンターを開設し、事業の拡大に注力している。
信越化学は日本で成果を上げてきた研究・製造・販売が三位一体となった取り組みを海外でも進めており、今回の計画はその一環。ケイ素化学の分野で長年培ってきた技術力を生かして付加価値の高い製品を開発し、旺盛な米国の需要を着実に捉えていく方針だ。