16年のTPU出荷実績
過去最高の2万tの大台突破 ベルトなど押出品が好調推移
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)の総出荷量がリーマンショック以前を上回る過去最高を記録している。
TPU(熱可塑性ポリウレタン樹脂)工業会が先にまとめた2016年の熱可塑性ポリウレタンエラストマーの総出荷実績は2万543t、前年比8・3%増と2万tの大台を突破した。
国内出荷は主力の押出成形品が1万612t、前年比5・2%増、多素材とのブレンドによるコンパウンドでの使用量が増えているその他向けが4742t、同47・5増と大きく 伸長。この結果、国内総出荷は1万9259t、同11・4%増の2ケタの伸びとなった。一方、輸出は前年に引き続きふるわず1284t、同24・6%減と落ち込んだ。
国内出荷は物流拠点での整備拡充に伴うベルト需要を中心に食品向けのチューブ・ホース類、フィルム分野で総じて需要が拡大した。なかでも国内出荷を牽引しているのが、ポリウレタン製樹脂ベルト。
日本ベルト工業会が先にまとめた2016年の樹脂ベルトの出荷数量は総合計105万932平方㍍、前年同期比102%と堅調に推移。このうち素材別のウレタン製はPVC製、その他素材が前年を下回る中、74万705平方㍍、前年比106・6%と大きく伸び、樹脂ベルト出荷を押し上げている。
食品を中心に、物流向けのベルト需要が拡大しているためで、食品向けでは少子高齢化という逆風が吹いているものの、食品メーカー各社が食の安全・安心に向けた投資を積極化していることから、需要が堅調だ。物流向けではネット通販の普及拡大による流通センターの新設、拡充が進んでいる。
TPUはゴムのようなしなやかな弾力性と硬質プラスチックのような強靭さを合わせ持つ高分子化合物。
一般に原料としてポリオール、ジイソシアネートおよび鎖延長剤としての低分子ジオールを用いて製造され、ジイソシアネートと低分子ジオールとから形成されるハードセグメントと、ポリオールとジイソシアネート単位とから形成されるソフトセグメントという2つのセグメントにより高強度で柔軟なエラストマーの性能を付与している。力学的性能、耐摩耗性、弾性回復性、耐油性、屈曲性等の諸特性に優れていることからゴムやプラスチックの代替材料として使用されている。
成形も射出成形、押出成形、カレンダー成形、パウダースラッシュ成形など通常のプラスチック成形加工法が適用でき、リサイクルが可能、低VOC、ノンハロゲン等の特長を備え、環境対応製品としても注目を集めている。このため優れた弾性、機械的強度、低温特性、耐摩擦性、耐候性、耐油性を持ち、押出成形、射出成形、ブロー成形で成型され、各種ホース・チューブ、フィルム・シート、搬送ベルト・駆動ベルト、各種靴底、各種自動車部品に採用されている。
TPUを国内生産し、販売を行っているのは