流動性や制振機能向上で 自動車用途の新規ニーズに対応
熱を加えると軟化して流動性を示し、冷却すればゴム状に戻る性質を持つ熱可塑性エラストマー(TPE)は リサイクル性、軽量化、成形加工性に優れることから従来より架橋ゴムはじめ、塩ビ製品からの代替えが進んできた。 スチレン系熱可塑性エラストマー各社の現況を追った。
スチレン系はTPEとしては最もポピュラーで、熱可塑性エラストマーの中では比較的低コストで、ゴムに近い弾性率を持っているのが特長。
スチレン系TPEはSBS、SISおよびSBSの不飽和結合を高度に水素添加した飽和型のHSBS(SEBS、SEPS)の4種に大別される。
SBSはポリマー改質剤、アスファルト舗装材改質向けが多く、SISは粘着剤を中心に、SEBSはゴムに近い弾性を持ちながら、汎用プラスチック並みの容易さで成形できる素材として、自動車関連から電子材料、電器、食品・飲料、医療、玩具、雑貨などのコンパウンドはじめ、エンジニアリング樹脂改質剤、相溶化剤として多く使用されている。
SBSの主用途の一つである食品容器ポリスチレン改質向けは、近年、国内は電子レンジ対応可能なポリプロピレンや高透明のPETの採用拡大により需要は減少傾向だが、海外での食品容器の品質向上により輸出が拡大している。道路アスファルト改質向けは、新設道路の減少やSIS添加量の少ない安価なアスファルトの採用拡大などにより国内需要は減少傾向にある。また、粘着剤中心のSISでは紙おむつ用の伸縮材料(エラスティックフィルム)の素材として需要が