日本ゼオンのゴム事業部では、低燃費タイヤ向けの溶液重合法スチレンブタジエンゴム(S―SBR)と水添NBR、アクリルゴムなどの特殊ゴムを重点事業として位置付け、これら事業領域の拡大を図っている。
S―SBRについては、住友化学と合弁で設立した新会社「ZSエラストマー」(ZSE)が本年4月から営業を開始した。ZSEでは日本ゼオン(12万5000t)、住友化学(4万8000t)および両社の子会社が製造する製品(取扱い総量17万3000t)を購入して販売、計画通りに立ち上がった。
同社の松浦一慶執行役員ゴム事業部長は「低燃費、低騒音、軽量化要求に対応した技術革新に加え、長距離での安定走行ニーズやEV車に対応した新技術が求められてくるのではないか」とし、ZSEでは両社の技術を組み合わせ、研究開発に取り組んでいる。「下期以降の成果に期待したい」と新技術による開発製品の投入にも意欲的だ。
一方の特殊ゴムについては、内燃機関搭載の自動車生産が引き続き活発な中国、ASEAN、インドを成長市場ととらえ、2015年にインドに販売子会社を設立したのに加え、本年8月には同社のシンガポール子会社「ゼオンアジア」がシンガポールにアジア技術サポートラボラトリー「ATSL」を開設した。
日本・欧州・中国に続く第4の技術サポート拠点となるATSLでは、依頼試験への対応や需要家への配合提案に留まらず、現地に密着して顧客価値を高める様々なソリューションを提供していく。タイミングベルトや耐油ホース、オイル