横浜ゴムは9月27日、グローバル・フラッグシップブランド「ADVAN」の新商品「ADVAN dB V552」の試乗会を開催した。試乗会前に行われた製品説明会では、商品企画説明や技術解説が行われた。
最初にあいさつにたった野呂政樹取締役常務執行役員は「今年は100周年に向けて、従来の2倍の新商品を発売しているが、その中でも、新タイヤは横浜ゴムを代表するタイヤとなる。今まで蓄積した横浜ゴムの技術を緻密に積み上げた結果、かつてないほど静粛性にこだわったタイヤが完成した」と新商品を紹介した。
「ADVAN dB V552」は2009年に発売された「ADVAN dB」の後継モデルで、「車内の空気感を変える、かつてない静粛性」をコンセプトに開発されたプレミアムコンフォートタイヤ。従来品比較で騒音エネルギーを32%低減させただけでなく、全サイズで転がり抵抗性能「A」を、多くのサイズでウェットグリップ性能最高グレード「a」を獲得している。
最初に、消費財製品企画部の大前貴睦氏が企画説明を行った。大前氏は新商品を「次の100年に向けた、最初の製品」と位置づけ、開発の背景として、プレミアセダン市場の拡大やプレミアムミニバンやハイブリットカーなど静粛性を求める新たな需要層が出現していることを説明した。さらに、付加価値を評価する顧客層の増加、静粛性に対す非常に高い要望があることもわかったという。
こうした背景に応え、新商品は更に静粛性能を追求すること、高い基本性能を確保し両立すること、幅広いサイズレンジに対応することをテーマに開発されたと説明した。
大前氏は商品コンセプトについては、「ドラマチックサイレンス。目指したものは、かつてない静粛性にコンセプトを設定した。車内空間をタイヤで変えることにより、日常にドラマチックな変化を提供したい」と話した。また、商品特徴について「かつてない静粛性、更に高い安全性能、低燃費性能、プレミアムにふさわしいデザイン、新たな需要に対応する幅広いサイズレンジ」の4点を挙げた。
技術特徴については、タイヤ第1設計部の池上哲生氏が担当した。池上氏は「パターンを144のブロックに細分化することにより、タイヤが地面に接地する際に発生するノイズを低減、キャップコンパウンドのベースとなるゴムの厚みをサイズ毎に最適化することにより、ゴムの振動をコントロールし、人間の耳につく周波数のノイズを低減させただけでなく、一般的なタイヤよりも幅広いベルトを採用したことにより、ショルダー部の振動を大幅に抑制し、静粛性を高めた。これらの技術により、ロードノイズを従来品比較で32%低減させることに成功した」と搭載された技術について説明した。
試乗会では、「ADVAN dB V552」の性能を実感するため、音比較試験をはじめとするウエット試験、絶対評価試験などを実施した。
音比較試験では、従来品と新商品で、荒れた路面を再現した特殊路を時速50キロから60キロで走行比較した。新商品は、荒れた路面に突入した瞬間の音が小さいだけでなく、突起や継ぎ目の乗り越し音も小さく感じた。乗り心地も、凹凸をタイヤで吸収しているように感じ、マイルドに仕上がっている印象を受けた。
ウエット試験では、雨の状況を再現するためにスプリンクラーで水が撒かれた路面を円旋回する走行比較を行った。
従来品は約47キロでズルズルとタイヤが滑る音がタイヤの振動と共に伝わったが、新製品は50キロまではグリップが確実に効いていた。また、従来品は48キロで円旋回のコースから膨らんでしまうが、新商品は51キロまではコースをキープした。新商品はハンドリングでもグリップがよく効き、従来品と比較して安定感が増している印象を受けた。
その後、一般道路を約40分間試乗した。普段使用している車との比較になってしまうため、タイヤだけの比較にはならないが、運転席での静粛性はかなり高いと感じた。ロードノイズも抑えられており、2列目との会話も話し声が通りやすかった。