タイヤ・ゴム部品各社も最新技術・製品を紹介
次世代車が一堂に集結 自動運転などのコンセプト示す
「第45回東京モーターショー2017」が10月25~26日、一般公開を前にプレスに公開された。今回は「世界を、ここから動かそう。BEYOND THE MOTOR」をショーテーマとして設定。電動化や自動運転など、自動車技術が大きく変化していく中で、自動車メーカー各社は次世代技術を搭載したコンセプトカーなどを披露した。ゴム関連企業も次世代自動車への対応や環境負荷低などに貢献する技術などを紹介した。
◆住友理工
今回は同社の技術力に触れてもらう体験型の展示を行った。
主な展示品は「SRセンサ」、ウレタン製放熱防音材「MIF」、高機能防振ゴム「電動式アクティブ・コントロール・マウント」など。
このうち、SRセンサはゴム製のセンサーで、ドライバーの心拍や呼吸などのバイタル情報を検知する「ドライバーモニタリングシステム」としての活用を目指している。
ブースでは、SRセンサを内蔵したイスを用意し、座るだけで心拍数や呼吸などを検知するSRセンサを内蔵したイスを用意。イスに座わった体験者のバイタル情報を基にカラフルな自動車のイラストを作り、ステッカーにしてプレゼントしていた。
また、MIFはモーターなどの音を抑え、熱から部品を守ることができる。ブースではMIFを採用したものと非採用の2種類の模型を展示して、防音効果を体験してもらっていた。
◆NOK
「NOKミュージアム―創造の先をゆくシール技術―」をテーマに「楽しんで・見て・触れる」体験型の展示により、オイルシールをはじめ、高度な技術力で社会を支える機能部品を紹介した。
ブース内イベントとして「ブースラリー」と「リズムゲーム」を実施し、参加者にはオリジナルクリアファイルなどをプレゼントした。このうち、ブースラリーでは最初に国内で70%、世界でも50%のシェアを持つ同社のオイルシールについて、実物と動画で学んだあと、展示品を見ながらクイズに答えていく仕組みとなっていた。
ユニークなのは、オイルシールの新ブランド「レミューズ」の製品群やオイルシールの特殊突起「DHT」、防振ゴム「ハイダンピングラバー(HDR)」のカットモデルなどを、美術品のように壁の中に展示したことで、まるでギャラリーを巡っているような感じを起こさせていた。
◆豊田合成
ゴム・樹脂LEDの専門メーカーであることで可能になった、自動運転や電動化時代に対応する各種コンセプトモデルを紹介した。
ブースは現在・次世代・将来の3つのコーナで構成された。最も来場者の関心を集めたのは、将来コンセプトとして、2030年頃の超小型モビリティを想定したデザインコンセプトモデル「FlesbyⅡ」。
前回の「Flesby」は、基本的にはアイデア先行だったが、今回は実用化に向けた開発品としての展示となった。
万一の歩行者との接触時に柔らかいボディーが衝撃を緩和する安全機能、LEDの光で周りのドライバーや歩行者などとコミュニケーションを図る機能などを搭載。また、電気の力で動く次世代ゴム「e―Rubber」を採用することで、乗り降りを楽にしたり、高速走行したりするため、車体を低くするなどボディーを変形できることを実際に示していた。
ブリヂストン
持続可能な車社会へ 革新技術と対策など紹介
持続可能なモビリティ社会の実現に向けた同社グループの革新技術と新しいソリューションを紹介した。
低燃費タイヤ「ECOPIA with ologic」を装着したソーラーカー、空気充填不要なタイヤを装着した自転車、ランフラットテクノロジー採用タイヤ、プレミアム商品、「ポテンザS007」を標準装着した「アストンマーチンDB11」などを展示したほか、モータースポーツへの取り組みを紹介した。
同社は、世界最高峰のソーラーカーレース「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」に参戦する複数の大学チームに、低燃費タイヤ技術「オロジック」を採用したソーラーカー用タイヤを供給している。
ブースでは一昨年の大会で活躍した工学院大学のソーラーカーを展示し、同社のサステナブルモビリティに貢献する環境技術を紹介した。
一方、モータースポーツゾーンでは、ブリヂストン・モータースポーツとファイアストン・レーシングの活動を紹介するとともに、インディ500で佐藤琢磨選手が初優勝した際の車両モックアップを展示していた。
住友ゴム工業
新コンセプトを発表 未来へ5つの方向性提示
「ダンロップ」「ファルケン」の2つのブランドでブースを出展した。
ダンロップブースでは、ダンロップの「革新の歴史」と「未来に向けた挑戦」をコンセプトに展示を行った。
革新の歴史としては、ダンロップが発明した世界初の空気タイヤのレプリカモデル、自動車用タイヤの国産第1号の実物を紹介したほか、世界初の特殊吸音スポンジを採用した「ルマンLM703」などを展示した。
未来に向けた挑戦では、新しい技術開発コンセプトとして「スマート・タイヤ・コンセプト」を発表。その核となる「センシング」「アクティブトレッド」「性能持続技術」「エアレスタイヤ」「LCA」の5つの方向性について紹介するとともに、性能持続技術コンセプトタイヤを展示した。
ファルケンブースでは、一昨からサポートしている「レッドブル・エアレース・ワールド・チャンピオンシップ2017」に参戦した「チーム・ファルケン」の室屋義秀選手の機体模型を展示した。
また、「ニュルブルクリンク24時間レース」などの映像により、ファルケンの若々しく躍動感があるブランドイメージを訴求した。
横浜ゴム
歴代ヒット商品を展示 先進コンセプトタイヤも
創立100周年を迎えたことを記念し、過去と現在のヒット商品を展示したほか、高い技術力を象徴するゴムの技術や未来へ向けた次世代技術を訴求した。
ブースでは日本初のコードタイヤ「ハマタウン」(1921年製造)の再現モデル、スポーツラジアルという新しいカテゴリーを切り拓いた「アドバンHF」(1978年発売)などの歴史的商品と併せ、新製品の「アドバンHFタイプD」なども展示した。
ゴムの技術では、特にウェットグリップ技術を訴求。11月から順次発売するヨコハマ史上最高の静粛性を提供するプレミアムコンフォートタイヤ「アドバンdB・V552」などを展示し、多くの商品で高いウェットグリップ性能を実現していることをアピールした。
時代を見据えた次世代技術では、省資源化による環境貢献を目的に、大幅に軽量化を実現した先進技術コンセプトタイヤ「ブルーアース―エアーEF21」などを参考出展。
そのほか、パートナーシップ契約を結ぶチェルシーFCが昨シーズン獲得したプレミアリーグの優勝トロフィーを特別展示した。
日本グッドイヤー
技術革新力を結集 新開発含め主力製品紹介
自動車を取り巻く環境の変化を踏まえ、「モビリティ社会の実現に向けて」をテーマに、同社の持つ技術革新力を結集したコンセプトの提案と、新製品を含む主力商品を紹介した。
モビリティ社会の実現に向けたコンセプト提案として、いずれも日本初公開の磁気浮揚する球形タイヤ「イーグル360」と、AI搭載球形タイヤ「イーグル360アーバン」を展示した。
イーグル360は磁気浮揚する球体形状を採用することで、タイヤとと車体が分離。埋め込まれたセンサーが車両や周囲に路面状況や気象状況を伝達することで、より高い安全性を確保する。イーグル360アーバンは、これを進化させたもので、カーシェアリング時代にふさわしい高いメンテナンス性を目指すものだ。
一方、主力製品として「ベクターフォーシーズンズハイブリッド」などを出品。さらに来春発売予定の新製品として「エフィシェント・グリップ・パフォーマンスSUV」を展示した。剛性の高いショルダーブロックとタイヤ中央部のサイプにより、タイヤ設置面積を最適化し、高いブレーキ性能を発揮する。
コンチネンタルタイヤ
2つの革新技術を紹介 新製品のスポーツタイヤも
コンチネンタル・オートモービルとして出展。タイヤ関連で目玉となったのは、タイヤの状態を常時監視し、路面条件に合わせてタイヤの性能特性を適応させる技術の「コンチセンス」と「コンチアダプト」である。
コンチセンスはタイヤに内蔵されたセンサーから車内の受信機へ電気信号を送信する。ゴムベースのセンサーがタイヤのトレッドの深さと温度を常時監視し、測定値が既定値から外れると、システムがただちにドライバーに警告する。
コンチアダプトはホイールに組み込まれたマイクロコンプレッサーを利用し、リム幅を変えることでタイヤの空気圧を調整する。これにより、安全性と快適性の両性能で決定的要因となる接地面積を、あらゆる路面条件下で調整することができる。ブースでは、これらの技術をコンセプトモデルを使って分かりやすく説明していた。
製品としてはアジア版「スポーツコンタクト」として開発した「MAXコンタクトMC6」を中心に紹介。すでにアジア太平洋地域で販売しており、サイズが揃ったことで来年2月に日本でも発売する。