次世代技術を推進
東京モーターショーのプレスデー2日目となった10月26日、タイヤメーカー各社がプレスブリーフィングを行い、技術開発の新しいプロジェクトやコンセプト、方向性などを紹介した。
◆ブリヂストン
ブリヂストンは高木光治常務執行役員、田村康之技術戦略本部長、PSタイヤ開発第1部の三好茜氏が、将来に向けた技術・ビジネスモデルのイノベーションを加速するためのプロジェクト「KONNECT(コネクト)50」を紹介した。
高木常務執行役員は「イノベーション・先端技術の加速を通じて、向こう50年においても継続的に価値を提供し続けることを達成するのがこのプロジェクト」と説明。さらに、夢やアイデアを技術で具現化するのが技術者の役割だとして「技術開発での制約ややりにくさを全て変革し、開発を加速できるような取り組みを行うことも同プロジェクトのミッション」だと述べた。
三好氏は将来のモビリティ社会のイメージとして、タイヤの摩耗状態や路面状況を常に自動でセンシングすることにより、タイヤのゴムやパターンが自動で変わる機能、パンクを自動で検知して自己修復する機能などにより、ユーザーを自然にサポートするようになることを挙げた。
田村本部長は6つのグローバル研究拠点のうち、中心となる東京都小平市の技術開発センターについての構想を披露した。
同センターは「イノベーションセンター」「Rapid Proto(ラピッド・プロト)」「先進評価ラボ」「ミニプルービンググラウンド」の4つのエリアから成る。
イノベーションセンターで新しいアイデアが生み出され、それを具現化するのがラピッド・プロト。そこで作られた試作品を確認するのが先進評価ラボで、最後にテストコースであるミニプルービンググラウンドで確認を行うことになると、田村本部長は説明した。
高木常務執行役員は、最後に「最高の品質で社会に貢献という使命を達成するため、コネクト50を通じて継続的に新しい価値・製品・技術を紹介していく。同時に、我々自身も魅力あふれる、活気あるエンジニアの集団となるよう変革していく」と述べてブリーフィングを締め括った。
◆住友ゴム
住友ゴム工業は池田育嗣社長が新しい技術開発コンセプト「スマートタイヤコンセプト」を紹介した。
池田社長は「新コンセプトを一言で表すと、賢いタイヤだ。事前に危険を察知する賢さ、高い性能を長く維持する賢さ、環境に寄与する賢さを併せ持ったものになる」と語った。
新コンセプトは、セーフティーテクノロジー、エナセーブ・テクノロジー、そして2つの技術を支える「コア・テクノロジー」の3つの技術で構成されている。
池田社長は「これら核となる技術を実現する上で、センシングコア、アクティブトレッド、性能持続技術、エアレスタイヤ、LCAの5つの技術が重要になる」と述べた。
同社では、新コンセプトの実現を目指し、この5つの技術を基盤とした新しいタイヤの開発スピードを高めている。その過程で、2020年に性能持続技術を採用したタイヤの量産化、LCA手法を採用した新素材によるコンセプトタイヤを発表する。「さらに2020年代後半には全てのスマートコンセプトタイヤ技術を投入したタイヤを完成させる」(池田社長)計画を明らかにした。
◆横浜ゴム
横浜ゴムは、山石昌孝社長が消費財タイヤの地域戦略などを発表した。
同社は100周年を節目として、来年から2020年に向けた中期経営戦略を策定している。
山石社長は「私たちが100年で培ってきたのは技術力」だとし、消費財タイヤの地域戦略として、プレミアムOEタイヤ開発の強化、ウインタータイヤ開発の強化、クルマ趣味を満たすタイヤの充実の3つを掲げ、一層の差別化、存在感の確立を図っていくとした。
プレミアムOEタイヤ開発強化では、BMWX3にアドバンスポーツV105が採用されたことを一足先に発表した。
ウインタータイヤ開発の強化では、日本のスタッドレスタイヤ、欧州のウィンタータイヤなどにおける実績をPRするとともに、一層の技術向上を図る方針を示した。
また、クルマ趣味を満たすタイヤの充実では、「クルマを趣味とする方々にお応えできる数少ないタイヤメーカーでありたい」と述べ、ヒストリックカー愛好家向けに復刻した「アドバンHFタイプD」をWEB限定で販売を開始したことを発表。今後もラインナップ充実を図っていくという。
◆グッドイヤー
グッドイヤーは、ライオネル・ラミレスアジアパシフィック消費財タイヤ部門副社長とデビッド・ザンジグ商品開発開発担当副社長が登壇し、プレスカンファレンスを行った。
ラミレス氏は、日本初公開の「イーグル360」や「イーグル360アーバン」などの最先端製品と技術を発表した。
イーグル360は、磁気浮揚する球体形状を採用することで、タイヤと車体が分離。これにより、車体の向きを変えることなる安全・快適に多方向への移動が可能になる。
また、注力製品としてて、「ベクター4シーズンズハイブリッド」と「アイスナビ7」を挙げ、販売戦略等を説明した。
◆コンチネンタル
コンチネンタルは、エルマー・デゲンハートCEOが自動運転、電動化、コネクティビティのイノベーションに関する最新開発事例などを紹介した。
自動運転では、無人運転モビリティのためのデモ車両「キューブE」を取り上げた。キューブEはフランクフルトで実証テストを続けており、今後はセンサー類からコントロールユニットやタイヤ、駆動技術にいたるまで、同社が長年取り組んできた多種多様なテクノロジーに使用していく。
また、コネクティビティについて、同社は「包括的車両コネクティビティ」というアプローチを提案しており、コネクテッドモビリティのあらゆる分野に向けたソリューションを提供する方針だ。