【コラム連載シリーズ】世界のゴム事情21 米国のゴムEXPO(後編) 加藤進一

2018年01月09日

ゴムタイムス社

 ゴムEXPOから見える米国のゴム事情

 前回は米国で開催されたゴムEXPOについて触れましたが、今回はこの展示会から見えてくる米国のゴム事情をお伝えします。

 20年前に比べると、このゴム展示会の規模は少し小さくなりました。確かに生産拠点が米国からどんどんメキシコやアジアに移転されています。よって原材料メーカーとしては、出展の意義が薄れたとも言えます。どちらかというとゴム関係者の同窓会という雰囲気もあります。米国では独禁法が厳しく、同業競争相手に会うことが禁止されています。ちょっと会うだけでも駄目です。よってこのような展示会会場でお互いの動向を探るという意味で、展示会はそういった場を提供しているとも言えます。ゴムEXPOのようす

 現在米国は生産拠点ではなく、ゴム製品開発拠点として機能しており、また中堅、中小企業、コンサルタントの活躍の場が多いのが最近の特徴です。日本に比べてゴム関係のコンサルティング会社が多くあります。かつては個人のコンサルタントが配合開発、製法アドバイス、技術的問題解決をしていましたが、最近はそれを組織化して、会社として、配合開発、技術的問題解決に提供するという傾向になってきました。つまり、ゴム会社、特に中小ゴム会社社内のゴム技術者の不足という面も見えてきます。

 ゴムEXPOと同時に開催されたエラストマー会議のテーマが、今回は「ヘルスケア分野でのゴム製品、ハイエンドなゴム製品」であり、ゴム製品のコストダウンだけでは生き残れない米国のゴム産業の一面が見えました。安い面だけでなく、新規分野でのゴムの新しい可能性を見つけようとしています。

 また、ゴムEXPOと同時に併設された会場で開かれた

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