【コラム連載シリーズ】創業者山田猪三郎の軌跡【8】~気球製作所豊間清氏

2017年12月08日

ゴムタイムス社

創業者山田猪三郎の軌跡 

 前号では、猪三郎の召天までを記させて頂きましたが、今回はその後の弊社の歴史を少し述べさせて頂きます。

「事業継承とアドバルーン」

 猪三郎亡き後、その事業を継承したのが、娘婿である豊間靖(私の祖父)でした。猪三郎は私財を投じて飛行船の開発をしていたため、かなりの負債が残っていたようです。

 祖父は係留気球を利用して空中広告をすることを考案実用化しました。今でいうアドバルーンです。現在のアドバルーンはヘリウムガスの入った気球の下に宣伝の垂れ幕をさげているものが多いかと思います。当時のものは、ガスの入った円筒形の部分に直接ペイントして空に浮かべていました。飛行船の製作経験で係留気球を作ることはお手の物だったのと、広告会社と組んだことも功を奏しよく売れて負債を減らすことができたようです。

「気象観測用ゴム気球」

 1920年(大正9)には、気象観測用ゴム気球を開発製作して中央気象台(現気象庁)に納入をはじめました。当時の主原料は固形ゴムに薬品を入れて練り、それをガソリンで溶かしてリキッド状にしていました。ガソリンを使うため、非常に危険で弊社も2回もボヤ騒ぎを起こしてご迷惑をおかけしています。そのため、曽祖父の飛行船の貴重な資料や写真などの記録が焼失してしまいました。

「移転」
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