ブリヂストンは11月30日、東京・広尾の同社グローバル研修センターで、二輪用タイヤ事業のマーケティング戦略の説明会と新製品発表会を開催した。
最初に内田達也MCタイヤ事業部長がマーケティング戦略の説明を行った。同社の二輪用タイヤブランド「バトラックス」は来年35周年を迎える。バイクライフが多様化していく中、同社ではスポーツやレース、ツーリングなど、バトラックスのラインナップを拡大してきた。
内田部長は、その中から来年に向けての新製品として、スポーツ・ツーリング、アドベンチャー、スクーター、レーシングの4ラインナップ5商品を来年2月から発売することを紹介した。
スポーツ・ツーリングの新製品は「バトラックス・スポーツ・ツーリングT31」で、先代のT30EVOに比べウェット性能を大幅に向上させ、あらゆる環境で走れるタイヤとなっている。
アドベンチャーの新製品は「バトラックス・アドベンチャーA41」。従来のA40に比べ大幅なウェット性能の向上と、サイズを大幅に拡大した。また、内田部長はA41が新車装着として、ヤマハの国内メーカー初の3輪スポーツバイクとなるLMW(リーニング・マルチ・ホイール)テクノロジー搭載モデル「ナイケン」に採用されたことも紹介した。
スクーターの新製品は「バトラックス・スクーターSC2」「バトラックス・スクーターSC2レイン」の2種類。SC2は大型スクーターの快適なスポーツ走行を提供し、SC2レインは日々のコミューターユースとして、様々な天候の中でも安心して走行できるタイヤとなっている。
レーシングの新製品は「バトラックス・レーシングR11」で「従来の走りやすさに加え、より速く、勝てるタイヤに進化した」(内田部長)。
一方、今年発表したVツインエンジンを搭載するクルーザー系2輪車向けチューブレスタイヤ「バトルクルーズH50」に、新たに16サイズを追加することも併せて紹介。内田部長は「このゾーンでもブリヂストンの存在感を示していきたい」との抱負を述べた。
最期に、来年の新たな試みとして、「価値の見える化」を図るため、一般市場向けプレミアムタイヤについてはメーカー希望小売価格を設定、レース用タイヤとカジュアル・汎用タイヤについてはオープン価格とする方針を示した。
続いて、MCタイヤ開発部第2設計ユニットの高橋淳一リーダーが新製品の技術を解説した。
バトラックス・スポーツ・ツーリングT31は、従来品の安定性やライフ性能を維持しながら、ウェット性能と軽快性を向上させた。特にウェット路面でのコーナリング時のグリップ性能と制動距離を大幅に改善し、急な天候の変化でも安心・安全を提供できる。
主な技術としては、フロント・リアともに新設計パターンを、またフロントには新設計のコンパウンドを採用した。このうちパターンについては、ショルダー部の溝を増やして排水性を上げ、コーナリング時のウェットグリップを向上。逆に、センター部は溝を少なくすることでブロック剛性がアップし、ウェット制動距離を短縮させた。
バトラックス・アドベンチャーA41は、従来品に比べライフ性能を同等レベルに確保しながら、ウェット性能・直進安定性を追求した。
主な技術では、フロント・リアともに新パターンと新コンパウンドを採用した。パターンについてはT31と同様な技術を採用し、ウェット路面でのコーナリング時のグリップ性能と制動距離を大幅に改善した。
コンパウドでは、フロントにフィラー量を増やした配合、リアにはシリカ比率を向上させた配合のゴムを使用している。これにより、特に低温時のウェットグリップが向上した。
スクーター用については、従来のSCはシングルラインだったが、顧客ニーズを考慮して、今回はバトラックス・スクーターSC2とバトラックス・スクーターSC2レインの2タイプとした。
SC2は、特にドライ路面でのグリップ性能とロールリニア性に優れ、スポーツスクーター本来の気軽さ・楽しさを追及している。一方、SC2レインは、通勤・通学といったコミューターユース向けに、特にウェット路面での駆動性・ハンドリング性を向上させた。
バトラックス・レーシングR11は、サーキット専用の製品。最高峰の二輪レースにタイヤを供給し続けることで培われた最新の技術を投入した。
主な技術としては、新設計ベルト構造「V―MS・BELT」の採用により、サーキットでの高いグリップ性能と確実な接地感を実現した。また、サーキット走行を考慮した新パターンをフロント・リアともに導入するとともに、リアには新設計コンパウンドを採用している。