日本ゴム協会関西支部と関西ゴム技術研修所は12月8日、関西における日本ゴム協会設立90周年と関西ゴム技術研修所開設55周年を記念して、大阪メルパルクで記念式典と記念講演会を行った。
式典には、来賓として、近畿経済産業局、大阪府、大阪ゴム工業会、日本ゴム協会の各団体代表が参席した。
式典開始前に、80周年から10年の間に永眠された古川淳二氏と山下晋三氏を始めとした偉大な先達の先生方に、1分間の黙祷が捧げられた。
主催者挨拶で、日本ゴム協会関西支部の溝口哲郎支部長は「ゴム・エラストマーに関わる若手の先生方は明らかに少なくなってきている。このような中で、ゴム産業に関わる人材が直面している問題に対し、学びの場、気づきの場を提供することで、会員の皆様に貢献していきたい。また、支部所属の個人会員は10年前と比較すると減少している。関西支部では人と人との関わり、仲間意識を持ち、間口が広い活動を増やしていくので、次世代の人材を作るために、外に出やすい職場環境を皆様には作って頂きたい」などと話した。
続いて、同じく主催者を代表して、関西ゴム技術研修所の山口幸一所長は「ゴム技術者を自らの手で育てようというスローガンの元に、1964年にこの研修所が始まりました。これまでやってこれたのは、多くの研修生を派遣して頂いた企業の皆様、講師の皆様、運営委員、事務局長のおかげです。企業ニーズに新しいカリキュラムを加えて、継続して生徒を迎えたい」と感謝のあいさつをした。
来賓の祝辞に立った大阪ゴム工業会の山内一郎会長は「多くのゴムが使用されている車産業は、大きな変革を迎えようとしています。タイヤはなくならないと思うが、その他のゴムは大きな変化を受け、無くなる物も出てくると思います。車産業の大きな変化が、ゴム産業の停滞をもたらしてはならない。既に、企業では車を補う次の分野を探す研究に着手している。日本ゴム協会、関西ゴム技術研修所様におかれましては、その海図なき航海に対して、ぜひコンパスの役割、灯台の役割を果たしてもらいたい」と祝辞を述べた。
同じく来賓の日本ゴム協会の高田十志和会長は「およそ100年前の技術が生きているのがゴムです。これから新しい世界を生み出していかな日本ゴム協会の使命は、ゴムに関する情報や未来を見据えた企画の発信、セミナーなどを開催して、皆様のお役に立つということです。これからも関西支部と共に、産業、文化の発展に寄与していきたい」と話した。
感謝状贈呈では、日本ゴム協会関西支部から、賛助会員20年以上の85社に、サタデーセミナー参加企業20年以上19社に、永年役員14年以上10名に、特別功労者として広島ゴム技術員会元会長の吉光章容氏に、それぞれ感謝状が手渡された。
引き続き、関西ゴム技術研修所からは、最近10年間に研修生5名以上派遣した企業20社に、見学・実習協力団体10社に、10年以上の永年担当講師10名に、10年以上の永年担当運営委員11名に、特別功労者として、新田長彦氏、山下延子氏、國武典彦氏の3名にそれぞれ、感謝状が贈呈された。
引き続き、記念講演会が行われた。第一部の講演は「広島の挑戦を世界の歓びに」をテーマとし、マツダ株式会社特別顧問元常務執行役員の素利孝久氏が、第二部は「可動な架橋によるソフトマテリアルの強靭化」をテーマに、東京工業大学物質理工学院の高田十志和教授が行った。