JSRは20日、米国の創薬支援サービス「クラウン・バイオサイエンス・インターナショナル」を440億円で買収すると発表した。
2018年6月末までに全株式を取得し、完全子会社化する。
同社はライフサイエンス事業を石化事業、ファイン事業に次ぐ第三の柱と位置付けている。先に買収した診断薬のMBL、バイオ製造受託のKBIバイオファーマ、細胞株受託のSELEXISとを組み合わせることで、2020年のライフサイエンス事業の売上高500億円を目指す。会見した小柴満信社長は「第三の柱にするためにも、長期的には売上高1000億円を目指す」と語った。
クラウン社は、がん、炎症性疾患、心血管疾患及び代謝性疾患医薬品の基礎研究成果を臨床研究や実用化にまで高める創薬探索開発受託サービスを提供している。「がんに対する薬効分析をより人に近い環境で評価できるPDxモデルを世界最大の3000種類以上保有しており、欧米、アジア人両方を保有しているのが大きな強み」となっている。
同社は医薬品開発プロセスの上流にあたる戦略的基礎研究・診断薬開発に従事し、下流にあたるバイオ医薬品の製造プロセスにおいては細胞株樹立から製造プロセス開発・GMP製造受託まで一貫した形で価値を提供する枠組みを構築してきた。今回の買収の完了によって、製薬業界に創薬プロセスへの製品・サービス提供からGMP 製造までシームレスに価値を提供することが可能となり、「最後のピースが揃った」形となった。