「真のグローバル企業」「業界において全てに断トツ」を経営の最終目標として、経営改革を進めるブリヂストン。津谷正明CEOと西海和久COOに経営改革の進捗状況と次期の経営課題を聞いた。
◆17年を振り返って
津谷正明CEO 私たちは12年から西海と2人で新しい経営陣のもとで経営改革を進めて参りました。この一年をふり返ってみると、基本軸である経営理念体系でCSRの見直しを実施して参りました。これは形を作っただけで、実際に効果が出るのはこれからです。
新グローバルCSR体系では最高の品質で社会に貢献を使命とし、多様なメンバー、グローバルなネットワーク、業界でのリーダーシップを「強みと特性」に挙げ、そのなかでモビイリティの進化に貢献し、一人ひとりの生活と地域社会を支え、環境負荷を低減した環境を残すことを課題としている。
重点課題の一つであるブランド戦略では、数年前からオリンピックのトップパートナーとなりましたが、2017年からは全世界で使えることになり、17年から全世界での活動が本格化しました。
ブランド推進活動の中で非常にうれしかったのは、佐藤琢磨選手が日本人としてして初めてインディ500に優勝したことですね。私どものファイアストンブランドは非常に大きな財産です。ブリヂストンの歴史の中でブリヂストンとファイアストンの2つの大きなグローバルなブランドを持つことは私どもの強みです。特に佐藤選手の場合は私どもと関係の深いチームに移った1年目での快挙で大変うれしく思っている。
一方、イノベーションではビジネスモデルを支える拠点の整備を続けていますが、アメリカ、テネシーのナシュビルの本社ビルを一新しました。
IT産業を含めて、新しい働き方と人が集まるコネクティブなコンセプトのオフィスづくりをして参ります。アメリカで実験したものをさらに世界に改造しながら展開していくことになります。
また、オープンイノベーションの一つである人工筋肉ではゴム、ポリマーの持つ力を借りて、災害、介護、工場現場で人の力を助ける製品の開発に力を入れている。この人工筋肉はゴムチューブとそれを囲む高強度繊維からできています。チューブはブリヂストンの油圧ホースやタイヤのゴムの技術を、繊維部分はタイヤの内部にある有機繊維コードの技術を応用して開発されたものです。 ブリヂストンが開発したこのチューブと繊維を用いることで、軽くて丈夫で、強い力を出しながら柔らかく動かすことができる人工筋肉ができました。
◆17年に取り組んだ成果は。
西海和久COO 企業文化の育成に関しては、モータースポーツではインディ500で佐藤琢磨選手が日本人として初めてチャンピオンシップを取ったビッグニュースが舞い込んだ。
イノベーションでは2016年から内閣府革新的研究開発プログラム「ImPACT」で産官学連携で革新的な「強靭高分子複合体」の開発に成功しました。
この高分子材料はタイヤに路面から加えられる引きちぎられや、摩耗などのエネルギーによる耐摩耗性が標準的なゴム配合に対して4倍以上あり、かつ燃費性能が3割ぐらい良くなる、ある意味革新材料を開発することができました。モビリティについては、100年に一度の大変換機を迎えているが、タイヤ商品やサービスへの私どもに対する期待値が変わってくる。私どもがそこに提案できるようなソリューションを提供できる力をつけることが大切になってくる。それを支えるのがまさに技術である。
この革新タイヤ材料をこれからどういう形でどう具現化するかが課題だ。このプログラムの中でさらに発展させていきたいと思っている。これら革新材料による革新タイヤが出てきたときに、どう具現化、生産していくかという各種製法も非常に重要なポイントになってくる。AIを使ったICTの世界がいろいろな形で生産現場にも入ってきている。私たちも新しい成形システムを開発し、これまでの製法をさらに進化させ展開していきたい。
それらを支えるのが開発拠点ですが、グローバルで私どもを支える開発拠点は米国、欧州、アジアの拠点で開発拠点の強化を進めてきており、現在も進行中。それと同時に国内では横浜にある化工品工場の強化も進めてきている。続いて小平工場も単なるR&Dの開発拠点の役割を強化するという視点だけでなく、新CSRのコンセプトにあるもっと社会に向けて、もっと地域に貢献していくというコンセプトを入れて、小平地区の再設計を進めている。
◆17年を100点満点で振り返ると何点か。
津谷CEO 会社全体としては