環境変化に適切な対応を
ゴム業界に多大な影響を与える自動車産業で、EV化や自動運転など次世代技術の開発が進んでいる。さらにはAIやIoT技術の進化など、事業環境、あるいはものづくりそのものを大きく変える事態が進行している。こうした中で、ゴム企業各社のトップが年頭に示した所感・訓示には、そうした変化に向けての方針や心構えなどを説く言葉が目立った。
原点に立ち戻り経営の基礎を固める
津谷ブリヂストンCEO
今年は社是制定とデミング賞受賞から50年の節目の年となり、原点に立ち戻って経営の基礎を固めていく。
また、韓国・平昌でワールドワイドオリンピックパートナーとして初めての冬季オリンピックを迎える。当社は「チームブリヂストン」を発足し、オリンピックやパラリンピックなどで表彰台を目指す多様なアスリートを支え、チーム一体となって応援している。
不透明な経営環境が続くことが予想されるが、そのような環境でも当社グループは経営改革のフレームワークを堅持し、経営の最終目標に向かって、経営改革を推進していく。
長期目標達成へ重要な年に
池田住友ゴム社長
今年は長期ビジョン「VISION2020」の目標年度である2020年に向け、確実に目標を超過達成し、業績回復を図る重要な年となる。このような環境のもと、本年の社長方針として次の3点を定めた。
第一の方針は「変化をチャンスと捉え、力強く成長しよう」。第二の方針は「中期計画を確実に実行し、収益力を高めよう」。第三の方針は「一人ひとりが成長し、活気ある組織にしよう」だ。
「Go for NEXT」をスローガンに、「VISION 2020」の目標達成に向け、今後もグループ一丸で取り組んでいく。
各事業の強みを活かし成長図る
山石横浜ゴム社長
101年目の新たなスタートとなる2018年以降の取り組みについて、タイヤ消費財事業では、高い技術力と様々な商品ラインナップ、グローバルな拠点ネットワークなどの強みを活かし、ブランドを確立させる。また、幅広い車種に対応する趣味性の高い商品のラインナップ拡充を図る。
タイヤ生産財事業については、フルカテゴリー・フルラインナップ、インドを生産拠点とする高いコスト競争力などの強みを活かし、農業機械用・産業車両用タイヤでトップ企業を目指す。
MB製品では、高い要求に応える技術開発カ、海洋商品などでの圧倒的なシェアなどの強みを活かし、グローバルな成長を図る。
既成概念を捨て変化をチャンスに
清水東洋ゴム社長
2018年は本格的に「勝てる実体づくり」に向かって、我々の本領を発揮していかねばならない年だということをしっかり確かめ合いたい。
我々が臨むべき大きなテーマは、「変化に対する集中力を高め、適応・進化を果たしていく」ということ。まずは、変化を正しく捉え、変化の本質を見極めなければない。
そして、その変化を自分たちに引き寄せて対応していかねばならない。既成概念を捨て、変化をチャンスに変えることだ。
当社グループは、タイヤ・自動車用部品というモビリティに関わるビジネスを中核とする経営体となった。仕事に魂を込め、ワンチームとなって臨んでいこう。
工場のIoT化や安定操業など推進
小柴JSR社長
当社は現在、2019年度を目標とする3ヵ年の中期経営計画JSR20i9に取り組んでいる。
この計画に基づき、2020年以降に訪れるデジタル技術の革新を見越して工場のIoT化を進めており、AI技術やドローンの活用などにも積極的に取り組んでいきたいと考えている。
また、製造業の重要なテーマである労働安全・設備保全・環境対策にも継続して資源を投入し、安定した操業を実現していく。働き方改革についても継続的に取り組み、「パワーゲーム」に頼らない仕事の仕方を実現していきたいと考えている。
3方針を念頭に企業活動を展開
松井住友理工社長
今年は次の3つの方針を念頭におき、企業活動を進める。
①「変革」。急激な事業環境に対応できるように新商品開発や新事業創出に向けた活動を進める。②「多様性」。真のグローバル企業への飛躍を図るため、ダイバーシティへの理解と意識改革を進める。③「現場力向上」。盤石なモノづくり体制の構築を進め、お客様に良品を届ける。
当社は1929年に創業して以来、モノづくり企業としてこれまで発展を遂げてきた。2018年もこれまで以上にグループの総力を結集させ、さらなる発展に向けて今後もたゆまぬ努力を継続していく。
「変化の年」に知恵を出し合い躍進へ
吉井バンドー化学社長
2018年度は次期中期経営計画(BF―2)がスタートする年だ。干支である「戊戌)」の「戊」は「茂」が語源で、植物の成長が絶頂期にあるという意味をもつ。「戌」は、もとは作物を刃物で刈り取りひとまとめに締めくくることを表している。戊戌は二つの「土」の意味の組み合わせで、土の性質は「変化」といわれている。
私たちも、次のステージであるBF―2に向け、「変化の年」に、経営陣だけではなく、従業員一人ひとりが知恵を出し合い、働き方を抜本的に変え、活力、規律のある組織、風土を実現し、未来へ向かって躍進していく。
基本に立ち返り強い企業体を目指す
垣内三ツ星ベルト社長
今年も引き続き、非常に速く変化していく経営環境、ますます速くなる技術革新の中で、変化に迅速に対応できる体制をつくりこんでいくことが必要であると考えている。
①「物づくりj をする企業体であることを再認識すること②ユーザが必要とする品質の製品を心をこめて製造し、社会に貢献すること③企業風土を今一度見直し、古い風土を切り捨てる努力をすること。
以上のことを、グループの全社員の一人ひとりが今一度基本に立ち帰り、真の競争力のある「高機能・高精密・高品質」の製品を提供できる強い企業体を目指し、努力していく。
個々が変わることで新しい変化の波を
新田ニッタ社長
昨年、ニッタは変わらなければならない、という強い気持ちで「新ニッタグループ理念」を制定した。社員一人ひとりが変わっていくことで、ニッタグループは大きく変わっていく。新しい年を迎え、新しい変化の波が起きるのを楽しみにしている。
今年はニッタブランドの社外の認知と強化に向けて、アウターブランド戦略を展開していく。また、4月から中計V2020の最終フェーズが始まる。3大チャレンジの骨子はそのままで、事業部戦略とコーポレートの機能を連携させ、スピードと実効性のアップを図っていきたいと思う。