横浜ゴムは1月24日、縦型空気式防舷材に取り付けたままの状態で安全弁の検査が行える新型口金具を開発し、同月から販売を開始すると発表した。
空気式防舷材は船舶の接岸または接舷時に、船体と岸壁の損傷防止を目的として、船と船、船と岸壁の間に浮かせて使用する空気を内包したゴム製の緩衝材。縦型空気式防舷材は、海中に船体やその一部が深く沈み込んでいる艦船で使用される。
空気式防舷材には過剰に圧縮された際、内圧の上昇による破裂を防ぐため、内部の空気を放出する安全弁が取り付けられている。従来、安全弁の検査は空気式防舷材をクレーンなどで陸揚げし、空気を抜くなどした後、口金具ごと安全弁を取り外して行う必要があり多大なコストがかかっていた。
これに対し、新開発の口金具は安全弁検査用の圧力容器を口金具背面に設置。手動バルブを閉じることで防舷材本体と口金具の間の空気の通り道を遮断し、防舷材本体を密閉状態にできる構造となっている。これにより、防舷材を陸揚げすることなく安全弁の検査が行え、大幅なメンテナンスコスト削減が可能になった。
同社は空気式防舷材やマリンホースなどの海洋商品市場で世界トップクラスのメーカーの1社。1958年に世界で初めて生産販売を開始した空気式防舷材は、洋上で原油やLPGなどを移送する2船体間荷役で欠かせない製品となっている。