【コラム連載シリーズ】世界のゴム事情22 中国の環境規制の現状(前編) 加藤進一

2018年03月15日

ゴムタイムス社

 世界をゴム材料の視点から考えると、中国国内の環境規制が、タイヤ、ゴム業界に多大な影響を与え始めています。カーボンブラック、加硫促進剤、老化防止剤のゴム薬品、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等は最近値上がり、または物不足になっています。これらはすべて中国の環境規制、さらに裏金禁止規制が原因、または遠い要因になっています。

 中国では2016年から大気汚染改善のため、中央政府が環境問題に本気で取り組み始めました。北京の大気汚染、PM2・5のひどさが世界中に知れてしまい、政府は中国のイメージをよくするため、重い腰を上げました。中央政府が調べていくと、実は排水規制、排ガス規制がきちんと守られていないことがわかり、それは、地方政府の役人が、地元の工場から賄賂をもらい、接待を受け、環境規制に違反していることを目こぼししてきた実態がわかりました。

 政府はこの数年、汚職や規律違反を厳しく取り締まるようになりました。そこで、中央政府が「中央環境保全査察組」を発足させ、習近平主席の指示で各地方を回り、数百万の工場を直接査察始めました。違反している工場には、軽微では罰金ですが、査察の結果、約1割の工場は即生産停止命令、工場閉鎖命令がでました。その過程で地方役人の不正もどんどん見つかり、役人は罰せられました。そのため、今度は地方役人が自分の地位を守るために、必要以上に、工場を停止させるように、また中央政府の査察がくる時期だけ排

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