世界的な環境規制強化で
合成ゴム工業会がまとめた2018年1月の合成ゴム生産量は、合計14万9597tで前年同月比2・5%増となり、6ヵ月連続で増加、昨年下期以降から堅調な伸びが続いている。各種合成ゴムの需要動向及び各社の現況をレポートする。
2017年の合成ゴム生産実績は162万705tで前年比3・6%増となり、2年ぶりに前年同期実績を上回った。
日本ゴム工業会がまとめた2017年の合成ゴム品種別出荷実績も国内向け・輸出向けとも前年を上回り、142万2911tで前年同期比1・0%増となり、4年ぶりの増加となった。
自動車用ゴム部品を中心とする工業品向けが伸長、品種別ではNBRが2桁増となった他、SBRソリッドも伸長した。
合成ゴム各社は販売数量の増加に加えて、前年度末におけるブタジエン価格の高騰に伴う価格改定によりおしなべて収益改善が図られた。
2018年の合成ゴムを取り巻く事業環境は、米国や中国の経済成長が継続し、欧州も底堅く、オリンピックを控えた日本国内も含めて、好調に推移するものと期待されている。合成ゴム需要はブタジエンの価格に翻弄されるものの、事業環境は圧倒的に良くなっており、本年も堅調な伸びが見込まれている。
S―SBR
低燃費タイヤ用S―SBRについては各社ともに販売が好調に推移、今後も大きな成長が見込まれる中、供給体制の拡充や第5世代と呼ばれる新技術開発競争も活発化した。JSRのハンガリー新工場、旭化成のシンガポール工場の拡張、韓国のロッテベルサリスエラストマーズの新プラント、ドイツのトリンゼオの能力増強などグローバルに生産能力の拡大が進んでいる。新興国でのモータリゼーションの進展によるタイヤ生産の拡大に加え、欧州、カリフォルニアや中国で控える新たな厳しい環境規制・排ガス規制の法制化を追い風に、CO2削減、燃費向上に貢献する低燃費タイヤのトレッド部に使われるS―SBRの需要は今後、ますます拡大するものとみられている。
S―SBRの全世界での市場規模は年150万t弱。旭化成では拡大する需要に合わせ、シンガポール能増後については、シンガポール工場が限界となる2020年度前半までには次期プラントを稼働させる計画。
また、エコタイヤ向けのBRの需要が拡大している宇部興産ではタイヤの成長率に合わせブタジエンが安定調達できる地域での第5拠点の建設を視野に入れている。
EPDM
東南アジアでの市況回復に加え、国内では